自営業の方必読!ピースボートのポスターを貼る6つのメリットと3つのデメリット

自営業をしている人の中には、ピースボートのボランティアがポスターを貼らせてほしいと頼みに来た、という経験を持つ方も多いのではないだろうか。貼らせてあげた方がいいのか。でも、お店に特にメリットないし。そこで今回は、ピースボートのポスターを貼ることのメリットとデメリットを紹介したい。


ピースボートのポスターを貼る6つのメリット

出典:「素材三昧」 URL:http://sozaizanmai.com/

まず最初に、「マレビト信仰」という風習の話をしたい。

古来より日本には「マレビト信仰」という風習がある。よその土地からやってきた神様が、イエやムラに福をもたらす、という考え方だ。そのため、どこのイエでも、よそから来たカミサマを手厚くもてなした。

もてなしたのはカミサマだけではない。旅人もそうだ。

四国には「善根宿」というものがあった。お遍路さんを無料で家に泊め、手厚くもてなすことにより、自分もお遍路さんととな寺ご利益が得られると信じられていたのだ。

なにも「今すぐお金を落とす人」だけが客ではない。今はポスターとチラシしか置いていかなくても、巡り巡って福をもたらすこともあるのだ。

メリット① 新たな出会いがある

ピースボートのボランティアスタッフ(通称:ボラスタ)たちは、だいたい3か月に1回ぐらいのペースで、再び同じ町を訪れる。前回と同じボラスタが来ることもあるし、前回と違うボラスタが来ることもある。だけど、お店側の視点で見れば、3か月に1回のペースで誰かしらピースボートのボラスタがやってくる。

ポスターを貼るのを断っても、ボラスタは毎回店を訪ねるだろう。怒鳴って追い返せば二度と来ないはずだ。ただ、「純粋な客」としてもピースボート関係者が訪れることは二度となくなる。「あの店に行ったら理不尽に怒られた」という話は後世まで残る。ポスターを貼らせられないのなら、やんわりとお断りして、次は客としてきてもらうようにしよう。丁寧に断られれば、ボラスタ側もすがすがしく店を後にすることができ、次は客として訪れることもある。

むしろこれは、「昼日中から仕事もしないで、ただでポスター貼って、『地球一周』という夢を叶えようとしている奇特な人たち」と出会う絶好のチャンスである。彼らはそんなに急いでいないので(急いでる時もあるけど)、話しかけてみれば、彼らの夢の話、先に船に乗った彼らの仲間の話、彼らのそれまでの人生の話など、いろいろと面白い話を聞かせてくれるはずだ。

メリット② 常連客が増える

ピースボートに携わる者は、ポスターを貼ってある店と貼ってない店が並んでいた場合、まず間違いなく貼ってある方に入る。これは船を降りてピースボートに携わらなくなってからも続く。ポスターが貼ってあると、無条件にうれしくなるものだ。

また、ボラスタがその町を訪れるのが2回目だった場合、前にポスターを貼ったお店で食事をとることもある。食事ついでにポスターの張り替えもできるわけだが、前回、その店でポスターを貼った時の「あの店、おいしそうだったなぁ」という記憶に基づくことの方が大きい。

船を降りた後で、ポスターを貼ったお店に友達と食事に行った、なんて話も聞く。

大宮に「楽釜製麺所といううどん屋がある。

大宮ボラセンのメンバーで言ったところ、値段が安く味も良い。

さらに、目立つ場所にポスターが貼ってあったのだ。

それ以来、僕らはことあるごとに楽釜製麺所に足しげく通った。「安くて、うまくて、ポスターが貼れる」と評判の店だったのだ。船に乗っていた時、唯一食べたくなった日本食が「楽釜製麺所」のうどんだった。

「純粋な客として訪れる」というのは、ボラスタにできる唯一の恩返しであり、財布に余裕がある限り、その恩返しを続けていきたくなるものだ。

%e9%87%9c%e7%8e%89%e3%81%86%e3%81%a9%e3%82%93
楽釜製麺所の釜玉うどん。これに、揚げ玉をたっぷりかけるのがお気に入り。くぅ、たまらん!

メリット③ 勝手に宣伝してくれる

さらに、気前よくポスターを貼らせてくれたなど、印象に残る店はボラスタが勝手に宣伝までしてくれる。

例えば、「一代元」というラーメン屋がある。埼玉県を中心に展開しているラーメン屋だ。

もともと個々のラーメンが大好きで、足しげく通っていたのだが、

なんとこの店、ポスターにも寛大。今まで、5店舗を訪れて、貼ったポスターは11枚。なんと、一度も断られたことがない。

以来、僕はあちこちで一代元を宣伝して回っている。こんな風に。めちゃくちゃうまいうえにポスターも貼れるのだ。あ~、書いてたらまた行きたくなってきた。

%e4%b8%80%e4%bb%a3%e5%85%83
一代元の韓国ラーメン。くぅ、たまらん!

メリット④ お客さんとの会話も増える

お店にピースボートのポスターを貼っておくと、たまにお客さんがポスターのことを聞いてくるらしい。

もちろん、お店の人に詳しい説明などできるはずもない。

だが、ポスターにはチラシが張り付けてあったり、URLや電話番号が書いてある。説明する代わりに、チラシを渡したり、連絡先を教えればいい。

ついでに、ポスターを貼りに来たおかしな若者たちの話でもしてみるといいだろう。お客さんとの会話が増えるはずだ。

メリット⑤ インテリアとして使える

以前、とあるエジプト料理屋さんに貼った時、こんなことを言われた。

「これ、前はピラミッドの写真とかありましたよね?」

「あ~、ありましたよね。僕も、そのバージョン見たことありますよ」

「ね~。ピラミッドが写ってたら、もっとよかったんだけどねぇ」

とまあこんな感じで、お店によってはポスターの写真が店の雰囲気を高める場合もある。3か月ぐらいしたら、全然違うデザインのに変わってしまうのだが。

メリット⑥ 夢への投資

ポスター1枚貼ることで、そのボラスタに約300円寄付した計算になる。もちろん、お店側は1円もお金を払わない。本来、ピースボートがボラスタに請求するはずだった乗船費用が、300円マイナスになる、というシステムである。

こちらは1円も損しない募金と言えば分りやすいだろうか。

募金の場合「金の使い道」というのがよく問われる。日本はNGOやNPOへの警戒心が強いので、募金の透明化はどこの団体にも求められている。

だが、このシステムは純粋に「ボラスタの乗船費用の割引」にしかならない。他の使い道はありえない。なぜなら、ポスターをお店に貼ったところで、ピースボート側には1円もお金が入ってこないからだ。むしろ、ポスターの印刷代がかかっている分、赤字である。

募金とは、身もふたもない言い方をすれば、わずかなお金で「今日はいいことをした」というすがすがしい気持ちを買う行為である。そういう意味では、ポスターは最良の募金だと思う。

ピースボートのポスターを貼る3つのデメリット

ここまではポスターを貼るメリットについて書いてきた。過去にポスターを3000枚貼ってきた者としては、ポスターが貼れる店が一つでも増えてほしいのだが、デメリットを書かないのはアンフェアだ。ここから先は、ポスターを貼ることのデメリットを書こうと思う。

デメリット① ズバリ、邪魔

ポスターを貼ることの最大のデメリット。それはずばり、邪魔だということだろう。

縦は約50㎝、横は約40㎝。結構な大きさである。これが50枚、60枚となると結構な重さで、もって歩くのもなかなかに大変だ。

お店によっては、自分たちの店や商品に関するポスターを貼らなければいけない場合もある。そういう場合、このサイズのポスターは純粋に邪魔である。これが、ポスターをお店にはることの最大のデメリットだろう。

デメリット② 他のポスターも貼らなければいけなくなる

たまに、このような理由でポスターを断られることがある。もっともな意見だ。

街に出てお店を回り、ポスターを貼ってもらえるよう交渉しているのは、ピースボートだけではない。探偵事務所だったり、ペット美容室だったり、さまざまな企業が「ポスターを店に貼る」という宣伝方法をとっている。また、地元の学校の文化祭のポスターや、選挙ポスターなどもある。ピースボートに限らず、ポスターという宣伝の仕方はやはりバカにできないのだろう。

1回こういうのを許してしまうと、他のポスターも断れなくなってしまう。「なんでピースボートはよくて、うちはダメなんだ?」といった具合に。人が良いのか、いろんなポスターに埋め尽くされたお店を何度も見たことがある。

「ポスターを貼ったことにより店の外観を損ねた」のか、「ポスターを貼ったら殺風景なガラス窓がカラフルになった」のか、受け取り方はその人次第だろう。

デメリット③ 店の雰囲気に合わない

ポスターが店の雰囲気に合う場合があれば、もちろん、雰囲気に合わない場合もある。蕎麦屋やすし屋など、和風なお店がそれである。

こういう店ではあまり貼らせてもらえない。理由はやはり「店の雰囲気に合わない」ことだろう。

「地球一周の船旅」である以上、写ってる写真はヨーロッパの街並みやピラミッドやモアイ像が多い。やはり、和風なお店には合わないようだ。

以前、僕が貼っていたポスターにはでかでかと、サンバを踊るブラジル人美女の写真が載っていた。

これが和風な店での成功率がすこぶる悪い。もっとも、僕も店に入る前から「あきらかに店の景観と会わないけど、念のために行ってみるか」という感じだったので、断られても「ですよねー。お時間とらせました~」といった感じで大してダメージを受けることはなかった。

ピースボートのポスターってどこに貼ればいいの?

さて、いざポスターを貼るとなって、一体どこに貼ればいいのか。

実は、決して店の目立つところに貼らなければいけない、というわけではない。貼らせていただけるのであれば、どこだろうとありがたい。

例えば、物がごちゃごちゃ置いてあって、そこに貼っても全体の4分の1しま見えないような場合。

問題ない。4分の1も見えていれば、十分だ。

人目に付くのであればトイレでも構わない。お店側は「そんなトイレなんかに貼っちゃって悪い」と遠慮することがあるのだが、トイレのポスターから地球一周の扉をたたいた人は結構多い。

さらに言えば、別に客の目に触れなくてもいい。ポスターを見る人はお店の従業員でも構わないのだ。つまり、店のバックヤードの殺風景な場所でも構わない。

あるお店なんか、壁に穴が開いちゃた所にポスターを貼っていた。だから、逆にポスターをはがせないのだとか。そんな使い方で全然かまわないない。

ポスターを途中で剥がしたくなった時はどうすればいいの?

一度ピースボートのポスターを貼ったが、お店の都合で別のポスターを貼らなければいけないなど、ポスターをはがさなければならない場面もあるだろう。そんな時はどうすればいいのか。ピースボートに連絡すればいいのか。

連絡する必要はない。

お店に貼った時点で、もう、ポスターは店の所有物だ。お店の判断で自由にはがして、捨ててしまってかまわない。

「一週間たったらはがす」という条件のもと貼った店もいくつもある。そういう店でもやはり人がいいのか、半年ぐらい貼っていてくれた場合もあったが。

はがすときは、ちょっと引っ張れば簡単にはがせる。ガラスにテープがついてしまうこともあるが、爪でひっかけば簡単に取れる。

まとめ ピースボートのポスターは貼った方がいいの?

貼ることのメリットは簡単に言えば「善意の輪が広がる」という点だろう。それが客を増やすことにつながることもある。

一方、やはりデメリットは「景観を損ねる」ことだろう。

善意をとるか、景観をとるか。

僕は、ひいき目なしに、商売上手な店というのは、こういう場面で「善意」を選べる店だと思う。根拠は、1万以上の店をポスター背負って回った経験でしかないのだが。

ピースボートのボラスタがどんな生活をしてるかはこちらの記事で!

ピースボートのボランティアスタッフになったらこんな毎日だった

投稿者: ノック

民俗学ZINE作家。 「バズらないモノづくり」をテーマとする「ノンバズル企画」を主宰。民俗学専門ZINE「民俗学は好きですか?」を企画・執筆・製本・販売しています。「民俗学とは『生きること』を探求する学問」をテーマに、民俗学の魅力をわかりやすく、面白く、奥深く紹介していきます。