海の上の老人ホーム?ピースボートの高齢者世代に若造が物申す!

以前に「ピースボートで本当に洗脳されるのか、元参加者が検証してみた」と言う記事を発表したところ、「シニア世代には考えが凝り固まった人が多い!」とのご意見をいただきました。反響はうれしい限り。と言うわけで、今回は「ピースボートは高齢者世代に若輩者が一言物申す!


ピースボートの9割はシニア世代

ピースボートの乗客と言うと、若者のイメージが強いだろうか。

実は、9割は高齢者世代である。

僕が乗船した88回クルーズは「30歳未満99万円」だったのもあって若者が多いと言われているが、それでも8割が高齢者世代だ。

船内では高齢者世代を「シニア層」と呼んでいる。明確な定義はないが、だいたい50~60代以上の人を僕らはシニア層と呼んでいた。

そもそも、船の世代構成はどのようになっているのだろうか。

僕の感覚では、若者は18~24歳くらいが多かった気がする。これより下の世代はほとんどいない。

もっとも、クルーズによっては船内保育園がある場合もあり、そういったクルーズならば幼児の姿も多く見かけるだろう。

20代後半以上になると、少しずつ数が減っていく。30代になるとさらに数が減る、40代や50代はほとんど見かけない。この世代は働き盛りで、仕事を休む・退職して船に乗る、と言う決断はなかなかしづらい。しかし、60代以上になると一気に数が増えるのだ。

若者は朝が遅い。そのため、朝のピースボートのフリースペースはほとんどシニア層である。さながら、海の上の老人ホームと言ってもいい。

どうしてピースボートは高齢者世代が多いのか

どうしてこんなに世代に偏りが生まれるのだろうか。

簡単に言えば、原因はお金と時間である。

地球一周のハードルとして大きいのがお金と時間だ。

若者は、時間がある。学生はもちろん、まだ社会で重要な役割を占めているわけでもないし、独身者も多い。

しかし、若者にはお金がない。さらに、「履歴書に穴をあけると復帰しづらい」と言う意味不明な社会の風潮もある。

30~50代になってくるとお金はあるが、責任ある役職に就くうえ、家族もいるのでなかなか会社を休んだりやめたりができなくなる。

そう考えると、シニア世代はお金も時間も存分にある。数が多くなるのは必然なのだ。

実際、シニア層に船旅はお勧めだ。移動に疲れないからだ。船での移動中はじっくり体を休めたり趣味に精を出したりして、寄港地だけ頑張ればいい。寄港地でもバスツアーなどがある。

シニア世代に一言物申す!

分母が大きくなれば、当然その中にはマナーが悪いシニア層もいる。

びっくりしたことがある。

船内の通路は狭く、人二人並べばもう通れない。すれ違うときはちょっと気を使う一方、普段話さないような人とでもすれ違う時ぐらいは「おつかれー」などとあいさつをするので、それきっかけで仲良くなる場合もある。

その通路にシニア層が4人でたむろして通れなかったという経験がある。

ただでさえ狭い通路に4人がたむろして、ぺちゃくちゃしゃべっている。小学校の頃「道路では広がらないようにしましょう」と言う教育を受けた僕は、この光景に唖然とした。

また、友人の自主企画に出席した際、ペチャクチャしゃべっているシニア層を見たこともある。黙って聞いてろよと言う言葉が出かかった。

さらに、ちょっとしたトラブルから、僕が非を認めて謝罪したにもかかわらず「ぶっ飛ばすぞ」と脅されたこともある。僕の勘違いが原因だったのだが、殴られるほどの失態を犯したわけではないし、そもそも僕は自分の非を認めて謝罪した後にもかかわらず、なのだ。「ああ殴れよ。殴ったら困るのはそっちだぞ」と言いたかったが、友人の大切な企画の最中のことで、僕が殴るのはもちろん、殴られるのも邪魔をしてしまうのでぐっとこらえた。

「迷惑」とまで行かなくても、「マナーとしてどうよ」と主たことは何度もある。

ピースボートではいろんな企画があり、参加者にも質問や意見を主張ができるものも少なくない。

不思議なことに、シニア層の人は「自分語り」から入ることが多いのだ。

「え~、私は〇〇県から来た××と申します。長年△△業に携わっていまして~」

人にものを尋ねる前に自分から名乗るというのは大変礼儀正しいことだが、正直、そこまで求めていない。

そして、ここから自分語りが始まる。経歴紹介などをし始めるのだが、はっきり言ってそれがこの企画とどう関係しているのか、どう質問につながるのか、一体何を聞きたいのか、さっぱりわからない。だいたい3分くらいしゃべっていて、イライラがピークに達してもまだしゃべり、ようやく質問に入る。黙って聞いていれば質問だけ言えば言いような内容ばかりである。

不思議である。昔は会社などでプレゼンをやっていた人もいるはずである。どうしてこんなに要領を得ないのか。年を取ってまとめるのが弱くなったというよりは、最初からまとめるつもりがないのだ。

また、考えの凝り固まった人も多い。意見の合わない人に頭ごなしに怒鳴り散らすのを見たこともある。言われた方の人は「あなたたち上の世代のそういう態度は、下の世代から見ると恐怖なんです」と反論していた。

これはピースボートだけの問題ではない

今、ピースボートに限らず、日本中で「キレる老人」が問題となっている。確かに、町中を歩いていても店や駅などで声を荒げているのは高齢者世代が多いように感じる。

また、万引きの高齢かも問題になっている。まったく、最近の年寄はなってない!

と言いたくなるが、どうやらこれは老いからくる生理現象らしい。

人間は年を取ると前頭葉の働きが衰える。そのせいで感情のコントロールが難しくなってしまう。

テレビでそのように解説した後「年寄り笑うな行く道だから、と言うことで大目に見ましょう」などと言っていた。

だが、「迷惑をかけられる」と「被害をこうむる」は全く違う。迷惑をかけてしまうのはお互いさまだが(そもそも僕はADHDという、他人に迷惑をかけることが前提の生き物である)、相手に被害を与えていい理由、相手の気分を損ねていい理由、人を恐喝していい理由には全くならない。そこは声を大にして言いたい。

ピースボートで好かれるシニア世代になるために

ここまで来るとピースボートは希望難民御一行様どころか、単なるマナーの悪い老人ホームのようにも聞こえてしまう。

しかし、もちろん尊敬に値するシニア層も多い。マナーの悪いシニア層と交流することなどないが、尊敬に値するシニア層との交流はとてもためになる。

そんな尊敬すべきシニア層の皆様を思い出して、どう振る舞えば好かれるシニア層になれるかと考えたところ、一つの結論に達した。

それは、年齢など忘れることだ。

好かれるシニア層と言うのは、相手が自分の子供や孫ぐらい離れていても、年齢の差を感じさせず、対等に扱う人が多い。対等に接してもらえると、むしろこちらも敬意を感じるのだ。

また、自分から若者の中に飛び込む人もいる。一緒になってはしゃぐと、多少のことはあっても「どこか憎めない」となるのだ。

あるシニア層の人は「ピースボートは若者が主役で、自分はそれを支えるのが役目」と言っていた。そうやって一歩引いた態度をとれる人は本当に素敵だと思う。

いろいろ言ったけど、お年寄りは大事にしよう!

ここまで、今までほとんど人に言わなかったシニア層への不満をぶちまけた。中には自分の中でもやもやしたままだったものもあり、おかげですっきりした。

とはいえ、どうしてピースボートが若者を安く船に乗せられるのか、と言うのを考えれば、答えは「きちんとお金を払って乗っているシニア層がたくさんいるから」と言えよう。

ただでさえ、船旅をっかく・運営するというのはお金がかかるのだ。おまけにピースボートは安いことで知られている。どういう経営状況なのかは見当もつかないが、とりあえず今日までつぶれずに活動している理由の一つが、お金を払ってくれるシニア層であることは容易に想像できる。「若者だけの船」だったら格安で地球一周は難しいかもしれない。

ただ、金さえ落とせば威張っていい、と言うわけではない。敬われるシニア層はやはりそれなりのふるまいをしているのだ。

これからピースボートに乗ろうというシニア層の人にはぜひ、敬われるシニア層になってもらいたい。そして、若者にはぜひとも、そんな尊敬できるシニア層との交流を楽しんでもらいたい。

投稿者: ノック

民俗学ZINE作家。 「バズらないモノづくり」をテーマとする「ノンバズル企画」を主宰。民俗学専門ZINE「民俗学は好きですか?」を企画・執筆・製本・販売しています。「民俗学とは『生きること』を探求する学問」をテーマに、民俗学の魅力をわかりやすく、面白く、奥深く紹介していきます。