風俗店街と外国人街の奇妙な関係 新宿編

今まで、このブログでは西川口と上野を歩き、「風俗店街と外国人街はなぜか近い場所にある」という事を検証してきた。そのことについてもう一つ見ておきたい場所が東京にある。そう、日本最大の風俗街・新宿歌舞伎町と、コリアンタウン・新大久保の一帯だ。新宿から新大久保にかけて歩いて、食べてきた。

日本最大の風俗街・歌舞伎町

新宿・歌舞伎町。言わずと知れた日本最大の歓楽街・風俗街だ。

日本はおろかアジア最大の歓楽街だとか、日本で最も暴力団の事務所が集まっている場所だとか、黒い噂は後を絶たない。

しかし、どれだけ探しても暴力団の看板はない。そりゃそうか。表立って「○○組事務所」なんて書いてあるわけがない。

でも、表に出ないだけで、その手の事務所はあるのだろう。以前、総武線に乗っていたとき、明らかにガラの悪い男が電話で怒鳴っているのを見たことがある。その男が

「てめぇ、あとで歌舞伎町の事務所に来い!」

と怒鳴ったのを聞いて、

「うわっ、本物だ! 本場の人だ!」

と肝を冷やしたことがある。

一方、歌舞伎町の北側はホテル街となっている。

しかし、「歌舞伎町」というのだけれど、歌舞伎に関する施設はない。落語の見れる末広亭の方が近い。

元々は名前の通り歌舞伎が見れる施設を造る予定だったのだが、結局実現しなかった。「大泉学園」みたいなものだ。

歌舞伎は見れないけど、映画とゴジラなら見れる。

東京を代表するコリアンタウン・新大久保

歌舞伎町のホテル街を抜けた北側、大通りを渡ったところから新大久保駅までの一帯は、日本有数のコリアンタウンとして知られている。

韓国料理屋や、韓流スターのグッズのお店などが並ぶ。お店からはK-POPが流れる。

 

ハングル文字のドン・キホーテもある。ドンキは歌舞伎町にもあるのだけれど。

 

韓国語カラオケもある。以前、西川口で中国語カラオケの店を見かけたけれど、韓国語カラオケならKARAとか歌えそうな気がする。日本語の歌詞でなら、だが。

 

今、新大久保一帯ではやっているグルメがこれ。

チーズとジャガイモを油で4分揚げたやつだ。注文を受けてから揚げるので、4分は意外と長い。韓国人らしきお兄ちゃんたちが揚げてくれる。

さて、新大久保駅から、今度は大久保駅の方に向かって歩いていく。

 

このあたりにまで来ると、韓国以外にもいろんな国のお店が出てくる。

 

霊界都市・新宿

さて、日本最大の風俗街・歌舞伎町と、日本有数のコリアンタウン・新大久保が隣接している、というのは東京に住んでいる人からすれば、わざわざあらためていう事ではないだろう。

しかし、この一帯にはもう一つの顔がある。

それが「霊界都市」「東京の端」という側面だ。

世界一の乗降者数を誇り、都庁がある「大都会」新宿が、「東京の端」と言われてもピンとこないだろう。

だが、江戸時代には「内藤新宿」は、東京と外の世界の境界の町だった。ここから甲州街道を通って西へと旅立っていく。

上野編でも言及したので繰り返さないが、こういった境界線上には寺社仏閣が多く建てられる。

そして、新宿は寺社仏閣が多い。

たとえば、新宿2丁目は今はゲイバーの町として知られているが、この町には正受院、成覚寺、太宗寺と3つものお寺がある。新宿2丁目の公園に立って、ぐるっと360度一周すれば、3つのお寺全てが視界に入る。

四谷に行くとさらに寺が密集している。これらの寺は江戸時代の初期に、麹町から移設されてきたものらしい。

江戸時代、新宿一帯は江戸の端、異界の入り口だったのである。

実際、江戸時代にはこのあたりの怪談話が多かった。

有名な四谷怪談。これは創作だが、「四谷だったら幽霊が出てもおかしくないよね」と思われているからこそ、あの話は受け入れられたのではないか。これがもし「日本橋怪談」だったら、「うそつけ、あんなところに幽霊なんかでないよ」と突っぱねられていたかもしれない。

まとめ

前回の上野、今回の新宿、その共通点をまとめてみよう。

・風俗店街と外国人街が隣接、混在している。

・どちらの町も、江戸において中と外の境界、異界との入り口にあった。

なぜ、風俗店街と外国人街は密接しているのか。

その謎ときについては次回に譲ろうと思う。

僕は、「第二次世界大戦」がかかわっているのではないかとにらんでいる。

投稿者: ノック

民俗学ZINE作家。 「バズらないモノづくり」をテーマとする「ノンバズル企画」を主宰。民俗学専門ZINE「民俗学は好きですか?」を企画・執筆・製本・販売しています。「民俗学とは『生きること』を探求する学問」をテーマに、民俗学の魅力をわかりやすく、面白く、奥深く紹介していきます。