最近、いろんなことに興味がある。
僕としては一応、全部「民俗学」というくくりの中だと思ってるんだけど、人が見たらそうには見えないかもしれない。
元々、僕は「集落オタク」である。田舎の村から大都市まで、人が住む「集落」のなりたちや歴史を探るのが大好きだ。
大学で一緒に民俗学を学んでいた友達からは「そんなオタクいるの?」とあきれられたが、いるんだからしょうがない。宮本常一が愛読書だ。
一方で、野仏の研究もしている。あちこちを実際に歩いて回り、野仏のデータを集めている。
はたして野仏が民俗学なのかどうかちょっと疑問は残るけれど、野仏を通じてそれを立てた「普通の人の暮らし」を研究するので、大まかに民俗学だろう、と考えている。
さらにここ半年ほどは、川にものすごい興味がある。
今でこそ、川はただ水が流れているだけの場所でしかないが、かつての川は飲み水や農業用水に使われるだけでなく、ヒトやモノを運ぶ水運の道だった。さらに、川の水運を中心とした都市も生まれた。
一方で、川辺には「かわらもん」と呼ばれる被差別民も多く住んでいた。村にとって、川は異界との境界線である。
「人の暮らしの歴史」を考えるとき、川を視点の中心に据えると、これまで見えてこなかったものがいろいろと見えてくるのではないか。というわけで、川に夢中なのだ。
さらに最近、市にも夢中である。
市。つまり、市場だ。「シジョウ」ではない、「市場」だ。
元々、戦後の闇市に興味があっていろいろと調べていた。
そして最近、「市神様」というものがあることを知った。
「市神様」とは文字通り、市場の神様だ。トイレにも神様がいるように、市場にも神様がいるのだ。
調べてみるとこの市神様、「市場」という空間においてかなり重要な意味があるらしい。
それどころか、市場という空間は、単にモノを売り買いする以上に、何やら精神的な意味がある場所だったらしい。
それとは別に、今、マジナイにもいろいろと興味がある。
ノロウ、ハラウ、マモル、トナエル、ウタウ、などなど、一口にマジナイといっても色々あって、それは現代にもしっかりと根付いているのだ。
とまあ、あっちこっちに興味が移りすぎて、自分でもどう片付けていいのやら。
とはいえ、民俗学、いや、人文科学とは究極的には「人間とは何か」を探る学問だと思っているので、どこかで根っこは一緒なのではないか。
ちなみに、今は鎌倉時代の仏教の本を読んでいる。
鎌倉時代から室町時代に変わる頃の150年くらいの期間で、日本人の価値観の大転換があった、と網野善彦の本に書いてあった。ところが、何がどうしてそんな大転換があったのかまでは書かれていない。
僕はそれが、新鎌倉仏教と呼ばれる宗派の普及によるものなのではないか、と考えてみたのだけれど、その辺のことは全然詳しくないので、今、本を読んでいる。
もはや民俗学ではなく宗教史の領域だけど、ジャンルにはとらわれない主義なので、別に気にしていない。