北岳なんて知らない

びっくりするくらい、「流行りもの」に縁がない。

アニメはちょくちょく見るのだが、実は「エヴァンゲリオン」も「ガンダムシリーズ」も「まどか☆マギカ」もほとんど見たことがない。

「ファイナルファンタジー」も「モンスターハンター」も「どうぶつの森」もやったことがない。そもそも、これらをプレイできるゲーム機を持っていない。

「ドクターX」も「半沢直樹」もほとんど見たことがない。

「スターウォーズ」もよく知らない。

ラジオを聞くので音楽だけはいろいろ知っているのだが、流行の歌はそこまで好きではない。

そんな僕でも、「ワンピース」にはがっつりはまっている。もちろん洋服ではなく、マンガの方だ。自他ともに認めるワンピキッズだ。

僕の感覚だと、それまでもずっとワンピは人気があったけど、10年前の「頂上戦争編」あたりから爆発的な人気になった、そんな印象だ。

不思議なことに、ワンピのことは大好きなのだけれど、「ワンピ人気」に関してはちょっと距離を置きたいのである。「そんなにワーキャー言うほどかなぁ」と。

たしかに、ワンピはほかの漫画と比べると、1ランク2ランクおもしろい。

だけど、ほかの漫画が3ランク4ランクも劣っているとも思えない。ワンピはめちゃくちゃ面白いけど、世の中にはほかにも面白いマンガがいっぱいあるのだ。

音楽でも同じことが言える。確かに、「ヒット曲」と呼ばれる曲は、ほかの楽曲に比べて1ランク2ランク優れている。

だからと言って、ほかの楽曲が3ランク4ランクも劣っているとは思えない。オリコン30位くらいの曲だって、とても素晴らしい。

たしかに、「流行りもの」には流行るだけの素晴らしさがある。「他のもの」と比べても頭一つ抜き出ているのは間違いない。

だけど、「流行りもの」と「他のもの」に、決定的な溝があるほど実力が離れているとも思えない。

ところが、注目度においては、「流行りもの」と「他のもの」の間には、決定的な溝があるのだ。

そう考えると、「流行りもの」というのはいつだって、実力以上の過大評価を受けているのではないか。

ひとたび何かが流行りだすと、人の目が「他のもの」には向けられなくなり、「流行りもの」しか目に入らなくなる。結果、「流行りもの」はさらに流行る。これが熱狂の正体なのではないのか。

たとえば、「日本一高い山は富士山である」、これは誰でも知っている。

ところが、「日本で二番目に高い山は、北岳である」、これを知っている人は決して多くはない。

たしかに、富士山は標高が高いだけでなく、見た目も美しい。それに比べて、北岳は武骨だ。それでも、北岳だって3000mを超える山である。日本にこれだけ山がある中で、第2位にランクインする山である。もうちょっと知名度があったって良いではないか。

昔、「2位じゃダメなんですか?」という言葉に対して「2位じゃダメなんだよ!」という声が多く上がったけど、2位のなにがダメなのかというと、「実力以上に、注目度が劣る」という点ではないだろうか。

ひとたび「今、これが人気です」「今、これが流行ってます」「今、これが一番です」と言われると、人の目はもうそれにしか向かなくなり、他のものには目がいかなくなってしまうのだ。

これをきっと「全集中」と呼ぶのだろう。

もちろん僕は「鬼滅の刃」なんて、映画のCMでしか見たことがない。

投稿者: ノック

民俗学ZINE作家。 「バズらないモノづくり」をテーマとする「ノンバズル企画」を主宰。民俗学専門ZINE「民俗学は好きですか?」を企画・執筆・製本・販売しています。「民俗学とは『生きること』を探求する学問」をテーマに、民俗学の魅力をわかりやすく、面白く、奥深く紹介していきます。

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