選挙演説って誰が聞くのか

駅前の選挙演説って、どれだけ効果あるんですかね。実は意外と効果がないんじゃないか。

選挙戦が始まって、駅前を通ると選挙演説をしているのに出くわしたり、「〇〇代表が来ます!」みたいな立て看板を見かけたりすることが多くなりました。特に、うちの地元は人が集まる駅なので、よく見ます。

でも、「駅前の選挙演説」に足を止める人ってどんだけいるのか。

まあたしかに、駅前は人が集まる場所です。そういう意味では、駅前で演説をするというのは、一見すると効果的。

ただ、みんな別に「駅前」に行くことが目的で集まってるわけじゃないんですよ。

駅から電車に乗って、どこか遠くへ行くことが目的なんですよ。

もしくは、駅前のデパートとか、駅の近くのバス停とか、とにかく目的地はほかにあって、駅前でボケーっとすることが目的で集まってる人というのは、あまりいない。

つまり、駅前にいる人の8割は「先を急いでいる人」だって考えるべきです。

そんな「先を急いでいる人たち」が、じっくりと選挙演説なんて聞いてくれるのか。

っていうか、そもそもちゃんと「先を急いでいる人たち」に向けた演説をやっている候補者がどれだけいるのか。

ちょうどこの前も、駅前で演説してる人がいました。

さて、どんな話をしてるのか、と、歩きながら耳を傾けてみます。

話が聞こえ始めてから、通過するまでだいたい1分くらい。

……その間、単語がいくつかきこえただけで、「おそらくあの話題かな~」と推測できるくらいで、主張とかマニフェストとかそういうのはさっぱりわかりませんでした。

だいたい、「あー」とか「うー」とか「えー」とか、多すぎるんですよ。もっとコンパクトにまとめたまえ。

通行人にもしっかりと話を届けるってことを考えたら、大阪のしゃべくり漫才の師匠みたいなスピードで話さなきゃダメですよ。

しかも、漫才師の皆さんは「劇場で10分かけてやるネタ」をM-1のために4分に編集してやるそうです。だったら、候補者の皆さんも、「10分かけてやる演説」を「駅前用に4分に編集する」ってくらいの努力はするべきです。

さらに、最近の若い世代は「映画を1.5倍速で見る」とか、「音楽のイントロを飛ばして聞く」とか、何を焦っているのか、とにかく長ったらしいのが苦手みたいです。「ファスト文化」というそうな。

そんな昨今の若者たちに対して、「10分くらい聞いてないと本質が見えてこない演説」なんて、ウケるはずないでしょう。2.5倍速でしゃべりなさい。

深刻なリサーチ不足です。

「若者が政治に無関心」なんて言われるけど、僕に言わせれば実は逆で「政治が若者に無関心」に見えます。

投稿者: ノック

民俗学ZINE作家。 「バズらないモノづくり」をテーマとする「ノンバズル企画」を主宰。民俗学専門ZINE「民俗学は好きですか?」を企画・執筆・製本・販売しています。「民俗学とは『生きること』を探求する学問」をテーマに、民俗学の魅力をわかりやすく、面白く、奥深く紹介していきます。