そんなに話題に合わせたいのか?

・若い世代の人はいろんなものを倍速で見る。

・映画もファスト映画で見る(違法)

・音楽はイントロをとばして聞く

・スポーツは結果だけ知ればいい

・短時間で楽しむ、タイムパフォーマンス重視

そういった話を聞くたびに、何をそんな生き急いでんねん、理解できねぇなぁ、と思っていたのだけれど、ここはひとつ、視点を変えてみることにしました。

「スポーツは結果だけ知ればいい」とは、日本で最もサッカー観戦文化が根付いている町で生まれ育った身としては、承服できる話じゃないけど、要は、試合の過程を楽しむというよりは、情報として知っておきたい、ってことですよね。

ファスト映画(違法)も、映画館でじっくり映画の世界に入り込むのではなく、情報として映画の結末が知りたい。

たかだか数十秒のイントロをとばすのも、楽曲を歌詞とメロディだけの情報として聞いている。

じゃあ、なんでそんなに情報が欲しいのか。

そんなことを考えながらラジオを聴いていると、令和キッズの意見として、「ゲームは別に自分でやるより、実況動画を見てる方が、友達とだらだらゲームで楽しんでるみたいで、好き」という話が出てきました。

これだ!

いままで、人がゲームしてるところなんか見て何が楽しいんだろうと思ってたけど、「人がゲームしてるところが見たい」んじゃなくて、そもそもゲームが見たいわけでもなくて、「ゲームしてる時の会話の空間が好き」なんじゃないか。

そう、彼らが重視しているのは「コミュニケーション」。SNSもコミュニケーションのツール。you tubeも「動画投稿サイト」ではなく、コミュニケーションと話題のための情報を提供してくれるツール。

どうしてyou tuberの人は毎日毎日動画投稿してるのか疑問だったんだけど、彼らは「昨日の○○見た?」「見た見た!」というどこの学校でも毎朝繰り返されているあのやり取りの、「〇〇」に入る部分を毎日毎日せっせと作っているわけです。

要は、話題作りですね。you tuberとはつまり「みんなが話せる話題を作る人」なわけです。

コミュニケーションが何より大事、そのための話題づくりが大事、となると、倍速文化もある程度理解ができます。

彼らは、映画を見たいわけでもなく、音楽を聴きたいわけでもなく、「あれ知ってる?」と話題をふられた時に「うん、知ってる」と答えられる回数を一回でも増やしたいから、「話題作」を一通りチェックしたいのです。なんだか、テスト勉強みたいですね。

……なんでみんなそんなにまでして、周りと話題を合わせたいんだろう?

僕は「周りと話題を合わせたい」「みんなの話題についていきたい」って思ったことが、一度もないんですよ。

たとえば、友人同士の会話で、みんなが僕の知らないことの話題で盛り上がっている時、いつも僕は「それ、知らないや、ふーん」で済ませます。僕はその話題について調べることすらしない。

「みんな見てる」とか、「いま、大人気」とか、「なにかの記録を更新」とか、そういったことは僕にとって、何のきっかけにもなりません。

鬼滅の刃、呪術廻戦、スパイファミリー、君の名は。

このへんは、名前しか知りません。どれだけ話題になろうが、記憶を塗り替えようが、まったく興味がない。

むしろ、「いま、話題!」と言われた時点で、見る気をなくします。

音楽に関しては、ラジオばっかり聞いてるので、「話題の曲を知らない」ということはないです。

一方で、ラジオばっかり聞いているので、いわるゆyou tuberさんの動画、全く見たことがありません。もちろん、何の興味もない。

僕がまともに流行に乗ったのは、ポケモンとワンピースぐらいです。無理して周りと話題を合わせようとは思わない。

みんな、何で話題を合わせようとするんですかね。

投稿者: ノック

民俗学ZINE作家。 「バズらないモノづくり」をテーマとする「ノンバズル企画」を主宰。民俗学専門ZINE「民俗学は好きですか?」を企画・執筆・製本・販売しています。「民俗学とは『生きること』を探求する学問」をテーマに、民俗学の魅力をわかりやすく、面白く、奥深く紹介していきます。