ノンバズル企画では、ZINEを作っています。
……お酒を造っているわけではありません(笑)。
ZINEとは「MAGAZINE」の「ZINE」。個人が発行しているお手製の小冊子、すなわち「同人誌」を指します。
ZINEは19世紀末に生まれ、20世紀、特に90年代のアメリカ西海岸でブームを迎えたと言われています。
日本でも、明治時代には文学の同人誌が多くつくられ、文壇になお残す文豪も、こういった同人誌に執筆していました。
ところが、今の日本で同人誌というと、アニメやマンガの二次創作が主流なので、「同人誌作ってます」って言うと、もれなく「何のアニメの?」という質問が帰ってきます。
アニメやマンガの二次創作、いわゆる「薄い本」と区別するために、日本ではあえて「ZINE」という、ちょっとおしゃれな言い方を使っています。
アニメやマンガでないとすれば、じゃあ、ZINEは何が書かれているのかというと、
……何でもいいんです。
自分の好きなこと、自分の過去の話、自分の夢の話、イラスト、写真、小説、何でもいいんです。
もちろん、アニメやマンガの話でも。それこそ、何でもありなのです。
ZINEの魅力
①個人が発行している
ZINEは大きな出版社ではなく、個人が発行しています。そのため、書き手の個性があふれた出版物です。
その人の趣味や経験、アート作品がZINEの中に詰まっています。
そして、出版物を一つ作るというのは大変な手間です。その手間をかけてでも作りたいものがあったという、情熱がZINEにはつまっているのです。
そのため、ZINEを読むという行為は、あたかもその人の個性をのぞき見しているかのような、不思議な感覚に陥るのです。
②低予算・低価格
ZINEは基本的に安価なものです。個人が発行しているものなので、予算は限られますし、フリーペーパーのように広告を乗っけて広告費をとるものでもありません。
個人が低予算で作るものなので、どうしても、本屋に流通するような雑誌のようなクオリティには届きません。
でも、それがいいんです。デザイン、写真、文体、それらがどこか素人っぽい。素人ながらも精いっぱい、情熱をもって作ったZINE。その素人臭さが実はZINEの魅力の一つなのです。
③少部数発行
ZINEは普通の本屋には流通していません。
そもそも、「普通の本屋」に流通している本は、「取次」と呼ばれる業者を経由しています。取次では、なかなかZINEのような個人、それも素人が作ったものは扱ってくれません。
さらに、ZINEは個人が作っているものなので、作業的にも、予算的にも、そんなに大量には作れません。
ZINEは、基本的には少部数発行です。
だからこそ、作り手と読み手がダイレクトにつながれるのです。
「だれか読んでくれるかな?」と不安を抱えながらも、情熱をこめてZINEを作った人がいる。一方で、「だれが書いたんだろう?」とそのZINEを手に取り、その情熱を受け取る人がいる。
名前も顔も知らない人同士が、ZINEを通じて繋がる瞬間、それは、ネットを介して大量に拡散するコンテンツを通しての交流とは、また少し違うものなのです。