飛鳥Ⅱとピースボート、比べちゃいけないと思いつつも比べちゃった

これははっきり言って暴挙である。高級ホテルとビジネスホテルを比べるようなものだ。どっちがビジネスホテルかは言うまでもない。しかし、飛鳥Ⅱの乗客の本を手に入れてしまった。これはピースボートと比較してみたくなるというものだ。というわけで、暴挙と知りつつ、飛鳥Ⅱとピースボートを比べてみた。


飛鳥Ⅱとピースボート、それぞれの基本事項

飛鳥Ⅱ。日本を代表する豪華客船だ。船籍は日本。進水したのは1989年。アラサーだ。

一方、ピースボートだが、実は「ピースボート」という船はない。2012年からは「オーシャンドリーム号」というパナマ船籍の船をチャーターしている。よって今回は、飛鳥Ⅱとオーシャンドリーム号を比較しようという企画だ。

飛鳥Ⅱが5万トン、オーシャンドリーム号が3万5千トン。飛鳥Ⅱの方が断然でかい。

さて、気になるのが値段だ。ピースボートはよく、「ピースボートの一番高い部屋と、飛鳥Ⅱの一番安い部屋が同じ値段」と言っているが、実際のところはどうだろうか。

ピースボートは安い部屋が100万円前後。窓なしの4人部屋だ。

一方、高い部屋は300万円ちょっと。

とあるツアーの食事で、そんな高額な部屋のマダムと相席になったが、そのテーブルは殿上人に出会ったとちょっとした騒ぎだった。

一方、、飛鳥Ⅱの一番安い部屋で世界一周をしようとすると500万円弱。なんてこった。ピースボートの一番高い部屋は、飛鳥Ⅱの一番安い部屋に足元も及ばなかったのだ!

ちなみに、この記事の読者の98%は関係ない話だと思うが、一番高い部屋は1泊20万円。これで地球一周しようとすると、2000万円かかる。お金と度胸のある人は乗ってみるといい。

飛鳥Ⅱとピースボートの共通点

共通点なんてあるのか。「船である」くらいしか共通点はないんじゃなかろうか。

それが、結構、共通点がある。

まず、船内では常にIDカードを携帯し、このIDカードを使って船内では支払いを済ませる。財布は船内では持ち歩かない。

また、「船内新聞」なるものが発行される。船内のイベント情報や寄港地の情報が乗っている新聞だ。もっとも、ピースボートの船内新聞は7割が乗客の有志による手作りだ。

船内新聞を作ってた本人が言うのだから、まず間違いない。

船内にはカルチャースクールも存在する。ピースボートの場合はヨガ教室、太極拳、水彩画教室などがあった。

また、有名人のゲストも乗船する。ピースボートの場合は「水先案内人」と呼ぶのだが。

船内では毎日、企画がたくさんある。そして、飛鳥Ⅱもピースボートも、自分で企画を立ち上げ、主催することができる。

また、船内ではスクリーンを使った映画の上映会も行われている。

ちなみにピースボートではたまに屋外での映画の上映会があった。オープンデッキでゆらゆら揺られながら、「となりのトトロ」を見て埼玉が懐かしくなったものだ。

共通点は船内だけではない。船外では共にオプショナルツアーが行われる。

そして、二つの船の最大の共通点、それは、

老人が多い!

以前、「海の上の老人ホーム?ピースボートの高齢者世代に若造が物申す!」という記事を書いたが、ピースボートの乗客の7~8割は老人だ。

そして、飛鳥Ⅱに至っては、ほぼ全員が老人だそうだ。

なので、たぶんいないと思うが、20~30代で、飛鳥Ⅱに乗れるほどのお金があったとしても、飛鳥Ⅱはお勧めできない。

理由はただ一つ。ほぼ間違いなく、浮く。老人だらけの船に若者が一人乗っていたら、ほぼ間違いなく、浮く。

それだったら、ピースボートに乗る方を進める。ほぼ間違いなく「殿上人」みたいなあだ名がつくだろうが。

飛鳥Ⅱとピースボートの相違点

さて、ではこの二つの船、違うところは値段と大きさだけなのだろうか。

飛鳥Ⅱはどうやら、夕飯が時間制らしい。レストランに一度に集中すると大変なので、人によって夕飯の時間が決まっているようだ。

そう、飛鳥Ⅱの夕食は、レストランなのである。

ピースボートのように、夕飯が牛丼とか、かつ丼食べたさにずらりと行列ができるとか、そんなことはないのだ!(オーシャンドリーム号にもちゃんとしたレストランはあります。コース料理かかつどんか、ピースボートでは好きな方をお選びください)。

そして、飛鳥Ⅱには大浴場がある。船内にちゃんとしたお風呂があるのだ(オーシャンドリームには屋外にジャグジーがある。また、現在のオーシャンドリーム号にはなんと、露天風呂があるらしい)。

そして、飛鳥Ⅱでは毎日違ったタイプの一流のコンサートが開かれる。オーシャンドリームが毎日同じ線愛バンドが小さなライブを開いていることを考えると、えらい差だ。

ちなみに、飛鳥Ⅱに運動会があるのかどうかは確認できていない。

そして、飛鳥Ⅱの部屋には基本、がある!

さて、僕が驚いた飛鳥Ⅱとオーシャンドリーム号の最大の違いがこれだ。

飛鳥Ⅱは毎日午後5時以降はドレスコードが存在する!

ドレスコードってなんだよ!

飛鳥Ⅱではフォーマル・インフォーマル・カジュアルの3つのドレスコードがあり、毎日午後5時以降に発動するらしい。

ざっと調べてみると、カジュアルが普段着、インフォーマルがスーツ、フォーマルがタキシードやドレスだそうだ。

ピースボートでもドレスコードのあるパーティはあったが、船内全体がドレスコードなんていうことはない。

船内全体でドレスコードがあったら、スーツ着るのが嫌でパーティをすっぽかした僕なんか居場所がない。

インフォーマルやフォーマルのドレスコードが発動したら、新日本プロレスのTシャツを着てるやつとか、仮面ライダーのTシャツを着てるやつとか、クロアチアで買ったクロアチア代表ユニフォームを着てるやつとかは、居場所がなくなるのである。

……全部ワシやないか。

飛鳥Ⅱとピースボートを比較した結果

どちらも地球一周ができる船である以上、基本的なところは一緒である。しかし、そこから先、スケール感とでもいうべきだろうか、そういうところは、やはり違うみたいだ。

やっぱり、高級ホテルとビジネスホテルくらいの違いはあるようだ。

参考文献

狭間秀夫『~飛鳥Ⅱの船旅~ 101日間世界一周』牧歌舎 2008年

投稿者: ノック

民俗学ZINE作家。 「バズらないモノづくり」をテーマとする「ノンバズル企画」を主宰。民俗学専門ZINE「民俗学は好きですか?」を企画・執筆・製本・販売しています。「民俗学とは『生きること』を探求する学問」をテーマに、民俗学の魅力をわかりやすく、面白く、奥深く紹介していきます。