時間の流れが早い?

一般的に、年を重ねるごとに1年の感覚がどんどん短く感じるようになる、って言いますよね。もう6月、もう8月、もう10月、すぐクリスマスが来て、大みそか、お正月。そんなバカな。だってついこの間もお正月だったじゃん! このまえ初詣行ったばかりなのに、って。

僕も御多分に漏れずそのように感じていまして、そのうち人生なんてあっという間なんて焦りを感じていたんです。

……ですが。

この前、吉祥寺に行った時のこと。

町を歩きながら、そういえば去年の今ごろ、初めて吉祥寺を訪れたんだよなぁ、と思い出します。その時は吉祥寺に新しくできたZINEのお店の見学に行っていて、あれからそこが主催するイベントにも何回か出展させてもらって……。

え、これ、ぜんぶ1年以内の話?

体感では1年半ぐらいかと思ってたのに。

ほかのことを思い出してみても、「あれからまだ1年たってないの?」なんて驚くこともちらほら。

まあつまり、「1年前って何やってたっけ?」と振り返ってみると、1年ってちゃんと長いんだなぁ、ということに気づいたんです。

すなわち、短く感じていたのは「1年の長さ」じゃなくて、「ルーティンの感覚」の方だったんですよ。

毎年同じように年末が来て、大みそかになって、お正月になって、というルーティン、これが短く感じるようになっていたんです。

「もう8月!? いやだ~! 早い~!」というのもおんなじで、1月、つまり「お正月」というルーティーンを基準に考えちゃうから、時間の流れが速いように感じちゃう。

ということは、基準となる1月にルーティーンのようにお正月を過ごすのをやめて、毎年何か違うことをすれば1年を短く感じることがなくなる、のかもしれません。

時間の流れと言うと、1日の長さも早く感じる日もあれば長く感じる日もあります。

この前、日中は働いて、夕方になって飲み会に行って、二次会にも参加して、酔った友人の介抱をして、ようやく帰路につこうという時にふと思ったのです。「ふう、ようやく一日が終わる。長い一日だった」と。

あれもこれもと詰め込んだ一日を送ったら、いつもよりも長く感じた。

ということは、予定をいっぱい詰め込んだ方が、1日が長く感じるんじゃないか。

つまり、生き急いでいるように生きる方が、実は一日が長く感じる!

なんてこった! あれもこれもと予定を分刻みに詰め込んで、生き急いでいるように見えるような人が、実は人生をゆったりと楽しんでいたなんて!

Be “stay foolish”

マイメン・ゲバラがついにやってくれました。

「蒸風呂兄弟」なるユニットを組んで、車にサウナをのっけた「サウナカー」をかついでこの8月に世界を巡る旅に出たんです!

あ、ちがった。サウナカーに乗って旅に出ました。車かついでない。

いまごろモンゴルの空の下だとよ。

数か月前に連絡が来て、これこれこういう活動をしてるから、応援してくれないかと聞いた時、僕は素直にうれしかったんですよ。

30歳過ぎてこんなバカなことを純粋にやってるやつがいるのか、と。

僕も「民俗学のZINEを作って、売る」というバカなことをやっているという自負があるんですけれど、だからこそ思うんですよ。30歳を過ぎたたりから、「おバカ」を実践する人が少なくなってるなぁ、と。

体感では20代の頃の5分の1ぐらいですかね。

飲み会に行っても、話題が「仕事」「家庭」「投資」の話が増えてきた気がします。

そんな中でサウナカーに乗って旅に出るというおバカなことをゲバラが本気でやっている、というのが嬉しかったんです。

でも、それと同時に、なんだか悔しかったんですよ。

僕もゲバラとはベクトルが違うけど、「自分で紙媒体を作って、自分で売る」というおバカなことをやっているという自負があります。

だからこそ、この「おバカ」や「ワクワク」という領域で負けたくない。

いや、勝ち負けじゃないのはわかってます。っていうか、別にゲバラに勝とうとは思ってないし、「おバカ」の領域でゲバラに勝てるとも思ってない。

ただ、負けたくはないんです。

肩は並べていたいんです。

次にあいつに会えた時に「お前はすごいなぁ。俺にはもうあんなことはできないや」なんてことだけは言いたくないんです。

最近はそんなことばかり考えてますね。もっとワクワクできるはずだ。どうすればワクワクでゲバラに勝てる、と。

ZINEを作って売るという活動に少し慣れてきたところもあって、だからこそ思うんですよ。まだまだ、もっともっとワクワクできるはずだ、と。

今年の春にもそんなことがあって。

学生時代からの友人が、仕事でメキシコに引っ越したんです。

もちろん、彼は遊びに行ったわけではないけど、それでもやっぱり見知らぬ国に移住するのは、挑戦であり、冒険です。

彼の話を聞いてるうちに、こうしちゃいられない! と前々から考えていたシェア畑をレンタルしました。そっちが海を渡るなら、こっちは土を耕してやるぞ!と。

これまたやっぱり、友達が何かに挑戦しているさなかに、ぼんやり椅子に座って「応援してるよ~。頑張ってね~」と言ってるだけ、というのがイヤなんです。むしろ、張り合うことが僕なりの応援です。

旅をしてる人がえらい、海外に行く人がえらい、とは思わないけど、やっぱり旅をしてる人は偉いです。

さて、先日、寝転がってぼんやりラジオを聴いてたら、どこかで聞いたようなイントロが。秒で跳び起きました。その曲は88の出港曲「HOME」だったのです。

で、HOMEをラジオで聞きながら思ったのです。

そうか、僕が本当に負けたくないのは、船旅をしていた時の自分だ、と。あいつなんだ、と。

まだ10年もたっていないのに、「冒険はもうやめたよ。大人になったのさ」とだけは言いたくない。

あいつに、あの頃の自分に、勝ちたい!

とりあえず、当面はいま作っている「民俗学は好きですか?」のvol.10を、もっと面白く、もっとワクワクするものに仕上げることですね。

10冊目になってZINEの方向性もだいぶ固まってきたようにも思えるし、ここらでそろそろぶっ壊したくもあるし、これもまた冒険です。

自分が面白いと思えることをやって、それを見て面白がってくれる人がいたら、最高です。