7回目の文学フリマを終えて

先日の「文学フリマ東京37」では、今までとは少し違ったことがありました。

いつの間にか、知り合いが増えてるんですよ。

「前に鎌倉のイベントでお会いした○○です」

「ツイッターをフォローさせてもらってる××です」

「まえに湯島のイベントに出店してた時に買いました」

「あの時助けていただいた鶴です」

「あの時助けていただいた亀です」

「あの時笠をかぶせてもらった地蔵です」

そんな人たちがブースにZINEを買いに来てくれたんです。これまではあまりそういうことはなかったけど、今回は「前に買いました」って人が増えた気がします。少しずつ、見える景色が変わってきているのかもしれません。

そういうことがあると、時間とお金をかけて鎌倉までイベントに参加しに行ったり、大した売り上げにもならないのに湯島のイベントに参加したり、そういうのは無駄じゃなかったんだなぁ。

イベントとか委託販売とかの中には、どう考えても赤字になるようなものもあるわけですよ。去年は高崎の本屋さんのイベントに参加したりして。浦和から高崎までの交通費を考えると、絶対黒字にはならない。

だから、そういう時には「広告を配りに行くんだ」と割り切ってやってます。広告なんだから、お金を回収できなくて当たり前!と。

そういう意味では、売り上げ的には黒字にならなかったイベントで出会った人が、ZINEを買いに来てくれるというのは、広告としては大成功です。

かといって、広告にばかりお金を使うわけにもいかない。

これからはもっと予算の使い方というものをしっかり考えていかないとなぁ、と思う今日この頃なのです。

まあ、別にこれまでもどんぶり勘定をしてたわけじゃないんですけど、でも、予算のうちのいくらを何に使うか、なんて細かいことは考えずにやってたわけで。

紙や印刷に使うお金、イベント出店に使うお金やそのための交通費、広告費、取材費、新作のために初めて予算の内訳をしっかり書き出してみたら、結構予算ギリギリでした。

おまけに、「民俗学は好きですかとは別に、1年かけて新しいZINEを作ろうと企画しているのだから、予算が削れる削れる。

それでも、その予算がどこから出てるかと言うと、6月からの半年分のZINEの売り上げでして、さらに「売り上げの2割ぐらいは手元に残るように」と予算配分したら、結構ギリギリになってしまった、というお話。

生活費とかに一切手を付けることなくZINEを作れてるのはありがたいことです。

引き算、掛け算、割り算

久々に、四角大輔さんの話をラジオで聞いていたんです。

芸術家の日比野克彦さんとの対談だったんですけど、大輔さんの方がゲストという立場で自己紹介みたいなところから話していく感じ。「ミニマリズムとは何ぞや」いたいな感じで。

そういった話を聞きながらふと思ったのが、「僕の生き方って、『足し算』ではないかもなぁ」ということでした。

人生のステップアップに合わせて、欲しいものを手に入れて、必要なものを買って、という生き方ではないなぁ、性に合わないなぁ、と。

むしろ、どんどん荷物が少なくなってる感じがします。そういう意味では、僕もミニマリストに近いのかもしれません。いろんなものを「いらねぇや」と捨ててます。

たとえば、飲み会に行ったとき、腕時計の話になったんです。

どんな腕時計をしてるのか、いくらしたのか、奮発したよー、そんな話。

でも、僕はその話題に全く入れなかったんです。

なぜなら、そもそも僕、腕時計してないんです。いらねぇや、って。

時計が目に入るところにあると、時間を常に意識してせかせかしちゃうので、思い切っていらねぇや、って腕時計するのやめたんです。

最近は、スマホカバー使うの、やめました。重くて邪魔だし、いらねぇや、って。

スマホ落としたらどうするんだって? 落とさなきゃいいんじゃないかな。

そうやって振り返ってみると、僕は自分の生き方において、足し算よりも引き算の方を大事にしてるんじゃないかな。欲しいものを足していくよりも、いらないものを引いていく。

とはいえ、僕も仙人じゃないので、何もかも捨てて山奥で裸一貫で霞を食って生きていきたいわけではありません。

ゼロになるまで引き算してるわけじゃなくて、好きなことややりたいことはちゃんと残しておいて、引き算で生まれた時間で好きなことをする。

つまり、今度はかけ算をしているわけなんです。好きなこと、やりたいことに使う時間を、何倍にも増やしていく。

たとえば、SNSを見る時間とか、ゲームする時間とか、誰かの悪口を言う時間とか、そういうのはどんどん引き算していって、空いた時間をモノづくりに当てる。やりたいことに対して、もともとの何倍もの時間を当てられる。

だからと言って、好きなことばかりしているわけにもいかない。働かなきゃいけないし、畑も耕さないといけない。「出来上がったZINEを印刷・製本する」という、おもしろくもなんともない作業もしなければならない。

だから、1日のうちで何にどのくらい時間を使うかを、きちんと割り振る。これはわり算です。

こんなふうに考えていくと、なるほど、僕の生き方は、引き算・掛け算・割り算で成り立っているんだなぁ。あれもこれもと足し算していくんじゃなくて、いらないものを引き算して、やりたいことを掛け算して、時間を割り算していく。

そして最後に、ホントに必要なものを、最後に足し算すればいいのかな、と。

この前は6000円のちっちゃい台車を買いました。イベントの時の運搬に必要だったんで。軽くて使いやすいんですよ。腕時計の話はできないけど、ちっちゃい台車の話なら大歓迎ですよ。