この夏は面白いアニメがいっぱいでした。
ただ、ネットの反応を見てるとなんかリコリコの一人勝ちみたいになってるんですけど、僕は決してそうだとは思ってないですね。
確かに、リコリコの面白さは頭一つ抜けてるかな、とは思うんですけど、ほかのアニメを大きく引き離してる、とも思わないんですよ。ほかのアニメもかなりの粒ぞろいでした。
ただ、オリジナル作品の中では、「徹底的に作りこんだ物語を、シンプルにテンポよく見せる」、これが一番できていたのが、リコリコだったのかな、とは思いますね。
雑に作ったお話を、雑に見せる。それだとあたりまえだし、それじゃダメじゃないですか。
複雑なお話を、いかにも難しそうに見せる。それもまた、当たり前。
雑に作ったお話を、いかにも難しそうに見せる。「特撮界のちむどんどん」との呼び声高い仮面ライダーリバ〇スがやらかしたことですね。
そうじゃなくて、
凝りに凝って、練りに練って、徹底的に作りこんだお話を、そうとは思えないぐらいシンプルに見せる。無駄な部分、わかりづらい部分は、ばっさばっさと切り落とす。でも、大事な部分はしっかり残す。
これがきっとかなり難しいことなんじゃないかな。徹底的に作りこむのも大変だけど、作りこんだら作りこんだで、それをシンプルにテンポよく見せるのがさらに大変。難しい部分は削ぎ落すけど、奥深さは失わない。
今期のアニメの中でそれが一番できていたのがリコリコだったんじゃないか、それがあのヒットの理由かな、と僕は思いますね。
「犯罪者を裏で始末しているリコリスという少女たちと、それを束ねる組織がある」っていう設定と、「リコリスでありながら敵も味方も殺さないやり方を貫く千束」と「これまでリコリスとしての生き方しか知らなかったたきな」というキャラだけ頭に入っていれば、なんとな~く見てても十分楽しめるんです。
すくなくとも、僕はそうでしたよ。
設定にしても、作りこんでるんだろうけど世界観の描写とか設定の説明とか、あんまりしてない。
キャラクターも、必要最低限のキャラしか出していない。
作りこんだ世界観と物語を、可能な限りシンプルに見せていたと思うんです。
ジブリとかもそうですよね。ネットとかで「もののけ姫の裏設定」みたいな話がよく出てくるけど、そういうネタがあるのは、ジブリ映画が設定や世界観を徹底的に作りこんでいて、歴史ネタとか民俗学ネタとかふんだんに盛り込んでいて、それでいてやたらと細かい描写はしないでシンプルに見せてほとんど説明しないから。
「緻密な伏線回収!」とか「大どんでん返し!」とか「まさかの展開!」とか、「いかにも難しいことやってます!」って感じは、リコリコにもジブリにもあまりなくて、強いメッセージとキャラクターの魅力による直球勝負、そんな感じがします。
そういうアニメは実はリコリコのほかにもいっぱいあるんだけど、リコリコほど注目されてないものがほとんど。リコリコ以外にも、直球勝負アニメがもっと評価されたらいいのにな、と思います。
そうじゃないと、バランスとれねぇよなぁ!