少し前から、司馬遼太郎の「街道をゆく」を読みはじめてます。
きっかけは何げなく見てたNHK BSの番組。そういえば、「舟を編む」もBSだったなぁ。
で、その番組は女優さんが「街道をゆく」を片手に現地を旅する、というものでした。
今まで司馬遼太郎は長編小説のイメージが強くてちょっと手が出せなかったのだけど、紀行文なら読みやすかろう、と手に取ってみることに。
とはいえ、シリーズが始まったのは50年前。本屋さんに行ってもなかなか手に入らないだろうなぁ。ということで地元の図書館に通ってコツコツと読んでいました。
内容は、日本や海外のいろんな場所を司馬遼太郎が歴史ウンチクを交えながら旅するというもの。
いや、「ウンチクを交え」どころじゃないな。7割ウンチク3割現地、といった感じです。「早く現地へ飛べよ!」と思いながら読んでます。
それでも、歴史オタクの知識自慢みたいにならないのがさすが。思うに、司馬遼太郎はただ歴史の知識を並べてるんじゃなくて、その向こうに「人間とは何ぞや」「人の歴史とは何ぞや」という問いかけが見えるのですよ。
さて、そんな図書館通いをしていたある日。
神保町の古本まつりに出かけた時のこと。なんとその「街道をゆく」の50年前に出たハードカバーがずらりと並んでいたのです!
50年前の本なのに、すっごく状態がいい! それも一個200円!
でも、ぱっと見シリーズ十数冊以上が並んでいて、全部買うと本棚が大変なことに……。我が家はワンピースだけで100冊以上あるんや……。
というわけで、最初の1巻と2巻だけ買って帰りましたとさ。もしも神保町で「街道をゆく」の1巻と2巻だけない歯の抜けたコレクションを見かけることがあったら、抜き取った犯人は私です。
そのあとも、久々に椎名誠の紀行文を読んだり。
読みながら、こういう紀行文エッセイを書く人減ったなぁ、としみじみ。
旅に出て、その内容を発信する人はいっぱいいるんだろうけど、発信の仕方はブログだったり、SNSだったり、動画だったりで、一冊の本にまとめる人が昔より減った気がします。映える写真もいいけれど、文章だけでじっくり旅路を書くっていう作家さんで新しい人があんまり出てきてないんじゃないか。時代が求めてないのかしら。
あと、旅情ミステリーを見なくなったなぁ、と思うのです。浅見光彦シリーズの内田康夫とか、十津川警部シリーズの西村京太郎とか、ああいう旅情ミステリーの新しい作家さんっていうのをあまり聞かない。
ミステリー作家はいっぱいいるし、「このミステリーがすごい!」みたいなのもいっぱいあるけど、なんか奇をてらったようなものばっかで、旅と歴史を絡めたストレートな旅情ミステリーを見なくなったなぁ。「みちのく温泉旅殺人事件」とか、「熊野古道殺人事件」とか、「近江琵琶湖殺人事件」とか、みたいな、もうちょっとひねったらどうかねといった感じのタイトルで、「東京~京都~長崎を結ぶ、愛と殺意の逃避行! 八つ橋とカステラが解き明かす親子の愛!」たいなダサいサブタイトルがつく感じのやつ。
あー、でも、いま、乗り換えとかすぐ検索できちゃうから、西村京太郎の時刻表トリックみたいなのはもう使えないのかなぁ。