ルパンに心を盗まれて

大宮駅前のTSUTAYAが今週、惜しまれつつ閉店するそうなんですよ。

まあ、「惜しまれつつ」っていうほどの思い入れはないんですけど。「あら、そう閉店しちゃうのね。時代の流れかねぇ」くらいなもんで。

ただ、僕の目を強く引き付けた文言がありまして。

それが「大中古市」。

閉店に伴いDVDを中古販売するんです。

前にもほかのTSUSTAYAの大中古市で僕は、ONE PIECEのDVD、それも僕が子供のころにやっていた映画やテレビのDVDを3本、1000円で手に入れました。今でもよく見まてす。

あの時のように、DVDを安く大量にゲットするチャンス!

というわけで、とりあえずONE PIECEの映画を4本買いました。

でも、こんなチャンスはそうそうないので、ほかにもDVDを買いたいなぁ。何を買うか慎重に考えないと。

「ご注文はうさぎですか?」、「ヤマノススメ」、「SHIROBAKO」、「プリンセス・プリンシパル」、「彼方のアストラ」、「白い砂のアクアトープ」、「リコリス・リコイル」、「ラブライブ!サンシャイン!!」、「幻日のヨハネ」……。

好きなアニメのタイトルが浮かんでは消え、浮かんでは消え、心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴れば、あやしうこそものぐるほしけれ。

いや、待てよ。そうだ。こんな時でないと、あのアニメのDVDは揃えられない……。

そのアニメは、ルパン三世の第2シリーズ。

ルパン三世はこれまで6回テレビアニメが放送されてるけど、その中でも1976年に始まった第2シリーズは特別なんです。

映画やCMで見る「赤いジャケットのルパン三世」が登場したのがこの第2シリーズ。

さらに、おなじみの「ルパン三世のテーマ」のあの曲がOPで使われたのもこの第2シリーズ。

今のルパンのイメージを作ったのが、この第2シリーズなんですよ。

何より、ぼくが子供のころ、夕方に再放送していて、毎日見てました。思い出のアニメなんですよ。

そしてルパンはまだ小学生だった僕からとんでもないものを盗んでいきました。そう、私の心です。

ずっとDVDを手に入れたいと思っていたけど、一つ問題がありましてね。

第2シリーズはなんと、155話もあるんです。DVDにしてなんと26巻!

全部そろえようとすると一体いくらかかるのか……、計算するだけで眩暈がくーらくら。

でも、大中古市なら安く手に入るチャンス! というわけでアニメの棚の「ら行」を探してみたところ……。

なんと、ほぼ完ぺきなコレクションがそろえてあるじゃないか!

しかし、これがチキンレースのはじまり!

大中古市は閉店の日に近づくほど安くなる、というシステムなんです。

この日の時点でDVDの値段は一個880円。十分安いけど、いまルパンを全巻買ってしまうと、2万円以上になってちゃう。

来週になれば550円。再来週には330円。安く買いたいなら日を改めなきゃいけない。

ただ、再来週になったらもう売り切れてなくなってるかもしれない!

ちょっとずつ買い進めていくしかない。安く買いたいという気持ちと、ほかの人に取られてなるものかという気持ち、天秤が頭の中でぐーらぐら。

とりあえず2本だけ買って、「後日、必ず頂戴しに参上いたします」と心の中で予告状を残して、店を後にしました。

そうして、3回にわたってお店に通い、ルパンを買い進めていった結果、

19本のDVDを回収することに成功しました!

獲物はごっそりいただいたぜ!

コンプリート出来なかったのは残念だったけど、ぼくにとって最悪の事態は「ごっそりなくなってる」ということなので、19本100話以上を回収できたのは満足です。

使ったお金は一万円弱。でも、ふつうに買おうとしたらこの値段だと2本しか買えない。ブックオフの中古コーナーに行っても、10本買えるかどうか。

こうして我が家にルパンのDVDがやってきました。さっそく、第1話から見始めたんだけど、OPを見て気づいたことが。

メインの声優さんが全員、鬼籍に入られてしまった……。不二子を演じた増山さんが今年亡くなられ、50年にわたり次元を演じた小林さんも数年前にお亡くなりに……。

さて、アニメを見始めると、やっぱり最近のルパンとは違うなぁ、と感じるんです。最近のルパンはちょっとカッコよすぎるというか、人を出し抜く天才みたいに描かれ過ぎてる気がする。

50年前のルパンは、盗みの天才なんだけど、どこか抜けてて、いつも何かしらのトラブルが起きて、ワーワーギャーギャー騒ぎながらも、なんとか最後には帳尻を合わせる、そんなルパンです。

ストーリーにも時代を感じます。「ヒトラーの遺産」というお話は、「東ドイツ」から「西ドイツ」へ、ルパンたちが「ベルリンの壁」を強行突破する、というお話でした。

イヤぁ、楽しい、夢にまで見た「ルパンが家にある生活」。

しかし、今月はいろいろイベントが重なっているのに、1万円も使ってしまった……。奴はとんでもないものを盗んでいきました。私の財布の余裕です……。

投稿者: ノック

民俗学ZINE作家。 「バズらないモノづくり」をテーマとする「ノンバズル企画」を主宰。民俗学専門ZINE「民俗学は好きですか?」を企画・執筆・製本・販売しています。「民俗学とは『生きること』を探求する学問」をテーマに、民俗学の魅力をわかりやすく、面白く、奥深く紹介していきます。