お前だったのか!

畑のソラマメが少しずつ大きくなってきました。収穫までは群がるアブラムシとの戦いです。油せっけん水を吹き付けては、ハケでせっせと落とし続ける。ちょっとしたバイオテロ、ジェノサイドです。

ところが、4月に入って、アブラムシの数が随分と減ったんです。

あれま、アブラムシのシーズンオフかしら、と思って調べてみるとですね、むしろアブラムシはこれからの季節が本番と書いてあるんですよ。

それでも畑に行くたびに、びっしりといたアブラムシが明らかに減っているので、やはり何か起きたとしか思えません。

そうやってソラマメの世話をしていると、葉っぱからひょっこりとテントウムシが顔を出しました。

そういえば、ナナホシテントウはアブラムシの天敵と聞いたことがあるぞ。

一方で、同じテントウムシでも黒い点々の多いニジュウヤホシテントウはナスの葉っぱを食べちゃうので、ウチの今季はナスじゃなくてソラマメだけど、あまりお近づきになりたくない。

果たしてこいつはどっちだと背中のお星さまを数えてみたところ、さすがに28もないように見えます。

ナナホシテントウなら大歓迎! どうぞ好きなだけお食べください。アブラムシのケータリングでございます。

さて、しばらく前から謎の黒い虫もソラマメに出没するようになりました。なので、ついでに調べてみたところ、なんと、そいつがテントウムシの幼虫だったことが発覚したんです!

ってことは、あの黒い虫が成長してテントウムシになって、アブラムシを食べてくれていたのか!

てっきりアブラムシの一味だと思って、油せっけん水かけて悪かったなぁ。

気分は「ごん! おまえだったのか……!」です。

しかし、おもしろいものです。わずか半畝のソラマメ畑にも、生態系がある。

ソラマメが成長すると、その液を吸いにアブラムシが群がる。

アブラムシが群がると、どこで聞いたのかテントウムシがやってきて、アブラムシを食べる。

ってことは、僕がそのテントウムシを食べれば生態系の頂点に……。

ナンバーワン……。ナンバーワン……! 戦え……戦え……!

……いや、食べないよ!

危なかった。ソラマメが食べたくて栽培してるのに、生態系ナンバーワンの座を狙ったばっかりに、うっかりテントウムシを食べるところだった。

っていうか、テントウムシを食べるくらいなら、びっしり群がるアブラムシを食べたほうが……。

……いや、食べないよ!

農薬を使わなくても、自分で害虫を食べればいいんだとか、どんな究極の有機農法だよ。もう野菜育てるのやめて、森で虫とって食ってろよ。

ソラマメだよ。ソラマメが食べたいんだよ。

わくわく動物ランドへようこそ

この前、近所のマンションに「タヌキ、アライグマ、ハクビシンに注意! 見かけても触らないように!」っていう貼り紙がありまして。駅前の大きなマンションなのに、そんなに動物がいるの? いつから我が町はわくわく動物ランドになったの?

とはいえ、実は僕、この3匹、全部近所で見てるんですよ。

タヌキはついこの前。2回も見ました。ネコにしてはデカいなと思ってよく見たら、タヌキでした。

ハクビシンを見たのは数年前。あれは夜道の住宅街のことだった……。

自転車のライトが前方のネコみたいな生き物を照らしたんです。うっかり轢いたら大変だとその生き物をよく見ていたところ、なんと3匹に分裂したんです。そんなバカな!

どうやら、3匹のちっちゃいなにかが集まって1匹のネコみたいに見えていたようで。

子猫にしては小さすぎるけど、ネズミにしてはデカすぎる。お前はいったい何者だ、と見ていると、そのうちの一匹がくるりと振り返ったんです。

自転車のライトが顔にあたっても臆することなくこっちを見ていて、その鼻筋には白い線が一本通っていました。

あ~! おまえはハクビシン!

またある時は、とある用水路の脇の道をやっぱりネコみたいな生き物が歩いているのを見ました。

だけど、歩き方がどこか「イヌ科」っぽいんですよ。

犬みたいな歩き方をするネコだなぁと思ってよく見ると、ネコではなくてタヌキ顔。

あ~! おまえはタヌキ!

と驚いたんだけど、むこうも「わ~! ニンゲンだぁ~!」と驚いたのか、くるりと尻尾を向けて逃げていきました。

そのしっぽがしましまだったので調べてみると、タヌキじゃなくてアライグマだったようです。

アライグマはしっぽがしましまで、タヌキは先っぽが黒い。区別に困ったらしっぽを見ましょう。

アライグマはその名の通り気が荒いので、見つけても近づかないようにとよく言うけれど、中には気の小さいやつもいるみたいで、僕が見たアライグマはとっとと逃げていきました。

アライグマの世界で気が小さいと、いろいろ苦労しそうだなぁ。

一方で、タヌキやハクビシンの方が堂々としてましたね。ハクビシンは自転車のライトが顔にあたっても逃げなかったし、タヌキに至っては真昼間にお散歩してました。

そしてこれはついこの前の話。ちょうどこの前タヌキを見たあたりで、またしてもタヌキの様な動物を見かけました。

もうタヌキにはいちいち驚かないぞ、と思いつつも、タヌキかもしれないと思って顔を確かめてみたところ、なんと!

タヌキ柄の、ネコでしたとさ。