わくわく動物ランドへようこそ

この前、近所のマンションに「タヌキ、アライグマ、ハクビシンに注意! 見かけても触らないように!」っていう貼り紙がありまして。駅前の大きなマンションなのに、そんなに動物がいるの? いつから我が町はわくわく動物ランドになったの?

とはいえ、実は僕、この3匹、全部近所で見てるんですよ。

タヌキはついこの前。2回も見ました。ネコにしてはデカいなと思ってよく見たら、タヌキでした。

ハクビシンを見たのは数年前。あれは夜道の住宅街のことだった……。

自転車のライトが前方のネコみたいな生き物を照らしたんです。うっかり轢いたら大変だとその生き物をよく見ていたところ、なんと3匹に分裂したんです。そんなバカな!

どうやら、3匹のちっちゃいなにかが集まって1匹のネコみたいに見えていたようで。

子猫にしては小さすぎるけど、ネズミにしてはデカすぎる。お前はいったい何者だ、と見ていると、そのうちの一匹がくるりと振り返ったんです。

自転車のライトが顔にあたっても臆することなくこっちを見ていて、その鼻筋には白い線が一本通っていました。

あ~! おまえはハクビシン!

またある時は、とある用水路の脇の道をやっぱりネコみたいな生き物が歩いているのを見ました。

だけど、歩き方がどこか「イヌ科」っぽいんですよ。

犬みたいな歩き方をするネコだなぁと思ってよく見ると、ネコではなくてタヌキ顔。

あ~! おまえはタヌキ!

と驚いたんだけど、むこうも「わ~! ニンゲンだぁ~!」と驚いたのか、くるりと尻尾を向けて逃げていきました。

そのしっぽがしましまだったので調べてみると、タヌキじゃなくてアライグマだったようです。

アライグマはしっぽがしましまで、タヌキは先っぽが黒い。区別に困ったらしっぽを見ましょう。

アライグマはその名の通り気が荒いので、見つけても近づかないようにとよく言うけれど、中には気の小さいやつもいるみたいで、僕が見たアライグマはとっとと逃げていきました。

アライグマの世界で気が小さいと、いろいろ苦労しそうだなぁ。

一方で、タヌキやハクビシンの方が堂々としてましたね。ハクビシンは自転車のライトが顔にあたっても逃げなかったし、タヌキに至っては真昼間にお散歩してました。

そしてこれはついこの前の話。ちょうどこの前タヌキを見たあたりで、またしてもタヌキの様な動物を見かけました。

もうタヌキにはいちいち驚かないぞ、と思いつつも、タヌキかもしれないと思って顔を確かめてみたところ、なんと!

タヌキ柄の、ネコでしたとさ。

投稿者: ノック

民俗学ZINE作家。 「バズらないモノづくり」をテーマとする「ノンバズル企画」を主宰。民俗学専門ZINE「民俗学は好きですか?」を企画・執筆・製本・販売しています。「民俗学とは『生きること』を探求する学問」をテーマに、民俗学の魅力をわかりやすく、面白く、奥深く紹介していきます。