長く愛されるモノづくり

この1年はオタクしておりました。

僕は、好きなアニメを1つ挙げろと言われたら、2017年の「プリンセス・プリンシパル」と、2018年の「刀使ノ巫女」の二つを挙げます。

「1つだけ挙げろ!」と言われても2つになっちゃうのは、同率1位なんだからしょうがありません。

この2つのアニメ、もう7,8年前のアニメなのに、最近になって動きが活発になりまして。

まず、去年の11月、今年の4月、8月と3回にわたって刀使ノ巫女の上映会が開催。しかも、毎回キャストの声優さんがゲストという豪華っぷり。私は全部行きました。

1月には横浜でポップアップショップが開催されました。もちろん、行きました。

一番びっくりしたのが冬にやったクラウドファンディング。展示会を開催するため、200万円を目標に始まったところ、わずか90秒でクリア。その後も支援金が集まり続け、最終的に3500万円、達成率1750%で終了。「パーセント」とはいったい……?

もちろん、私も支援しました。

その合間、5月にプリプリの新作映画が放送され、再放送があり、過去の劇場版の配信があり、ニコニコ生配信があり……。

もちろん、映画見に行ったよ。

プリプリの怒涛の稼働っぷりが終わったかと思いきや、今度は刀使ノ巫女の上映会が再開し、秋には展示会がいよいよ開かれ……。

いやぁ。どっちも平成の終わりのアニメなんですけどねぇ。

私は本当に令和を生きているのだろうか?

平成をもう一度やり直しているんじゃないだろうか? なぁ、お前たちの平成って……。

いやしかし、どっちも原作なしのオリジナルアニメ。それでいて放送から7年8年たってもいまだに展開が続いている、というのは本当にありがたいことですよ。

プリプリは2年くらい音沙汰がなかったし、刀使ノ巫女に至っては公式アカウントはもう死んだんだと思っていたよ。

いまや毎クール、数えきれないほどのアニメが作られていますが、原作のないオリジナルアニメは、アニメが終わったらそれで終わり、という作品がほとんど。7年8年どころか、3年後だってこんなに活発には動きませんよ。

今の時代、SNSで広く拡散するアニメに注目が行きがちだけど、7年8年たってもいまだに稼働し続ける「長く愛される作品」は本当に少ない。

じゃあ、刀使ノ巫女やプリプリのように長く愛されるって、ほかのアニメと何が違うんだろうか、「長く愛されるモノづくり」って何なのだろうか、というのを今考えているところです。

僕の作る民俗学エンタメZINE「民俗学は好きですか?」は10月で創刊6周年。さらに10年20年と続けるために何が必要なのかを考えているのです。

熱中症より怖いもの

夏になってもう二回も、道端で熱中症のバアさんを介抱する羽目になりました。

二人も介抱して思うのが、どっちのババ……バアさんも、認識が甘いなぁ、ということなんですよ。

自分の体調の異変、体力の衰え、夏の異常な暑さ、そういうものへの認識が甘いなぁ、と思うんです。

70過ぎのバアさんが、40℃になるかならないかニュースで騒がれてる日の真昼間に、どうして外をうろついているのか。

70過ぎのバアさんが、日傘とか帽子とか熱中症対策を全くせず、どうして夏の真昼間を歩いているのか。

で、見てみるとどちらものバアさんも買い物袋をぶら下げてるんですよ。

買い物なんて、夕方にしろぉ!

わざわざ昼間に外に出て、熱中症になりました、歩けません、助けてください、と言われても、正直「知らんがな!」というのが本音ですよ。

で、塩タブレット持ってたんで、それ渡してとりあえず舐めてください、と言っても舐めないんです。

ぼおっとして頭が回らない、というわけではないみたいです。こっちの言ってる内容は通じて、理解してる。

でも、「私にはまだ必要ない」「そこまで体調悪くない」そんな風に思ってるように見えるんです。まともに歩けてないのに。

猛暑をナメるな、塩をナメろ! と、イライラしてくるわけです。

ただ、後になって思うのが、もしやあれが「正常化バイアス」というやつだったんじゃないかな。

正常化バイアスっていうのは、事故とか災害とか何か異常が起きたときに「こんなの大したことない」「自分は大丈夫だろう」と思い込んでしまうこと、だそうです。

熱中症で明らかにまともに歩けてないのに、すぐそこだからと家に帰ろうとする。

まっすぐ歩けないのに、「自分はそこまで体調悪くない」「ちょっと休めば大丈夫」くらいにしか思ってないんですよ。ナメてる、というよりはやっぱり、正常化バイアスだったんじゃないか。

ウ~む、だとしたら、イライラして悪かったなぁ。

でもね、お水飲んでください、とペットボトルを差し出しても、「私は大丈夫だから、このお水はあなたが飲みなさい」と言って返してくるんですよ。息も絶え絶えに。

イラっとするわけですね。なんだ、曇りの日でも万全の熱中症対策をしてるこの俺が、アンタより体調悪そうに見えるか? と。俺の足元がふらついてるんじゃない、アンタがふらついてるんだ、と。

何より、他人に気を使う前に、自分の体調に気を使って、外出を控えるとか、ネッククーラーつけるとか、もっとちゃんと対策してれば、道端で熱中症になることもないんだよ! とイライラするわけです。

そして、私、学びました。正常化バイアスに陥っている人に向けて、「塩タブレット舐めてくださいね」「お水飲んでくださいね」なんて親切そうな言い方をしても、動いてくれない。

「なんだと、俺の水が飲めないっていうのか!? つべこべ言わずに黙って飲めクソバ〇ア!」ぐらい強い言い方をしないと、お水を飲んでくれないんです。

悪い言い方をすれば、「脅す」。そのくらいしないと、お水飲んでくれない、マジで。

少し前に津波警報が出ましたけど、テレビをつけると「にげて!」「にげろ!」と強い言葉で書かれてるんですね。あれは「避難してください」なんて丁寧な言葉じゃ逃げずに津波に飲まれてしまった人がいたという、東日本大震災の経験からなのですね。これもまた、正常化バイアスのせいだといわれています。やっぱり、ちょっと脅すぐらいのつもりじゃないと、危機意識を抱いてはくれないみたいです。

という、熱中症よりも正常化バイアスの方が怖いかもよ、というお話でした。

義務で映画を見に行かない

あたしゃもう、疲れたよ。

テレビをつけても、ネットを見ても、ラジオをつけても、あの映画を見たかあのドラマを見たかネトフリを見たかと、無理に進めてくるのです。

疲れた! あたしゃもう、疲れた!

なので、義務で映画を見に行くことを、やめました。

どういうことか。

予告映像とかを見てもピンと来てないのに、「でも、○○だからなぁ……」という義務感で映画を見に行くのをやめた、という話です。

話題作だけど、予告映像を見ても宣伝文句を聞いても全然ぴんと来ない。さて、どうしたものか。

でもなぁ、といろいろと考えるわけです。あの監督が撮った映画だからなぁ、あの脚本家が書いた映画だからなぁ、あの会社のあのシリーズの映画だからなぁ、社会現象になってるからなぁ、もしかしたら世紀の大傑作かも……。見に行った方がいいのかな……と。

でもその時、ふと思ったんです。

全然楽しみじゃないのに、「○○だから見た方がいい」という義務感で映画を見に行っても、朝起きて、ご飯食べて、家を出て、お昼食べて、映画館入って、チュロス片手にほかの映画の予告編を上映前に見てるこの時間が、ちっとも楽しくない!

よし、義務で映画見に行くの、やめよう!

もちろん、見た後で、「これは名作だ!  見に来てよかった!」と号泣する可能性は大いにあります。

そうだとしても、最初の予告やポスターでピンとこないのなら、見に行くまでがちっとも楽しくないから、やっぱり義務で見に行くのはやめよう。

というわけで、最初にピンとこないのならば、「○○だから」という義務で映画を見に行くのをやめるようにしました。

映画に限らず、何かのイベントとか、何なら飲み会とか、行くかどうか迷ったときは、ふと自分の問いかけてみるのです。「君はワクワクしてるのか?」と。

すると意外と、義務で行こうとしてることって多いなあ、と気づいてきました。

でも、何事もやっぱり最初のワクワクって大事ですよ。好きなアニメとか思い返しても、放送終わった後もいつまでも好きなやつって、やっぱり1話目からワクワクしてのめりこめたやつが多いですね。最高だったぜ、ガールズバンドクライ。

逆に、ネットやメディアでどんだけ「すごい!」「名作だ!」と言われてても、見ててワクワクしないものは、やっぱり駄目ですね。結局、ネット受けするネタを詰め込んだだけで、のめりこめないし、だんだんとメッキがはがれて評判も落ちてくる。

「この映画がすごい!」「このアニメがすごい!」「このマンガがすごい!」みたいな話はいっぱい流れてきます。だけど、やっぱりどれもピンとこない。最初にワクワクできなかったものを「そうか、すごいのか」とためしに見ても、すごいのはわかるんだけど、やっぱりワクワクできないんだよなぁ……。

あと、「大どんでん返しがすごい!」みたいなやつは、それで散々ひどい目にあってきたので、もう信用しないのです。特撮の場合は特に。「どんでん返しがすごい!」「伏線回収がすごい!」なんて言われる作品は逆に、「ヒーローのカッコよさの何たるかがわかってないから、小手先のテクニックでごまかす」みたいな感じで、大人(特にオタク)からの評判はいいけど、お子様人気がまあ悪い。どんでんは返さなくていいから、まっすぐワクワクさせてくれ。

なので、義務であれこれ見るのをやめて、本当にワクワクできるものだけみたいな、と思う今日この頃です。