ため息の呪術

ここ最近、ご飯を食べたのに食べた気がしないなんてことがよくあります。

要は、集中して食べてないのですね。ほかのことを考えながらご飯を食べてるから、ゆっくり味あわずに、気づいたら「あれ? もうラーメンの麵がない!」なんてことになってる。

よく行くラーメン屋とか、マクドナルドとか、慣れてる店ほどゆっくり味あわずに、「あれ?」と思ってることが多いです。

これはよくない。よくないですねぇ。

カップラーメンだろうが、マックのポテトだろうが、コンビニ弁当だろうが、せっかく食べるんだったらおいしく味わって食べたいのに、これはよくない。

どうしたら、もっと集中して、味わって食べられるんだろう。ずっと集中しながら食べるのも疲れちゃうし……。

で、最近気づいたのが、どうやら食べながら「うん、うまい!」みたいな感想をつぶやくと、気持ちが味の方に集中できるということです。

「孤独のグルメ」みたいに心の中でなんかつぶやくよりも、声に出した方が、気持ちが集中できるみたいです。

ただ、行列のできるラーメン屋とかで「うん、うまい!」ならわかるけど、マックでいちいち食べながら「うん、うまい!」と言ってる人は、まずいません。ヘンな人です。

で、声に出す代わりに「ふぅ~む……」と深いため息をついてみる、これがけっこう効果的みたいです。

ラーメンをすすっては唸り、ハンバーガーをかじっては唸り、おにぎりをほお張っては唸る。そうすることで、気持ちが味の方に集中できて、それでいて無理に頭を働かせることもなく、気疲れしない。

しかもこれ、食事以外にもいろいろ効果があるようで。

疲れてるときに栄養ドリンクを飲む。黙って飲むんじゃなくて、「……くぅ~!」みたいに唸ると、なんだか疲れに効いてきてる、ような気がする。

お風呂に入るときも、黙って入るよりも、「ぼへぇ~!」みたいに唸ることで、体がほぐれて、より疲れが取れている、ような気がする。

もちろん、科学的根拠は全くないし、いわゆる「プラシーボ効果」が発生しているのかどうかすら疑わしい。もはや、一種の呪術です。「ふぅ~む」とか「くぅ~!」とか「ぼへぇ~!」とか「ふにゃ~」とか、声に出すというか声にならない声を出すことで、自分自身に暗示をかけて「お前はいまうまい飯を食っているのだ」「お前はいま疲れを癒しているのだ」というモードに向かわせるための呪術なのかもしれません。