ピースボートのクルーズでは、毎回20ヶ国近くの国を巡る。シンガポール・インド・フランス・スペイン・メキシコなど、日本人になじみの深い国にも行くが、「そこ、どこやねん!」と思わず言ってしまいそうな国にもいく。そんなピースボートのクルーズで行った『どこやねん』な国を5か国、紹介しよう。
ピースボートのクルーズで訪れた『どこやねん』な国 その① カタール
サッカーの試合でなんとなく名前を聞いたことがあるかもしれない。アラビア半島のペルシャ湾に面する国で、人口は200万人。FIFAランクは87位(2016年)。
国名よりも首都の方が、日本では有名かもしれない。
首都の名は『ドーハ』。あの『ドーハの悲劇』の舞台だ。
ドーハの悲劇とは……詳しくはwebで。
ドーハ気候に前日には、船の中で『ドーハの悲劇を再現する』という意味不明な企画も行われた。

カタールの国旗
そんなカタールの国旗がこちら。
カタールの国旗はデザインが隣国バーレーンの国旗に似ている。
なぜ、こんなにデザインが似ているのかというと、もともと2つは全く同じデザインだったのだ。バーレーンの鮮やかな赤がもともとの色だった。
ところが、倉庫に置いてあったカタールの国旗の方が、変色してエビ茶色になってしまった。それを見た王様が、
「……ま、べつにいっか」
といったかどうかは知らないが、なんと、カタールの国旗は変色したまま現在に至る。
ちなみに、その後ギザギザの数も変わった。
灼熱の町 ドーハ
さて、ピースボートではドーハに訪れた。
しかし、このドーハ、通称「世界一地味な首都」。
中心地は高層ビルがひしめくが、市街地はどこにでもあるアラブの街並み。
しかし、日本人にとってアラブの世界はなじみが薄いので、それだけでも結構楽しめる。


このカタールで押さえておきたい場所が「スーク・ワキーフ」という巨大市場。
地元の人向けの市場で、別に大したもの売っていないのだが(こらこら)、アラビアンナイトみたいな世界を味わいたいのならば、ここがおすすめだ。





ただし、カタールは砂漠の国。めちゃくちゃ熱い。半そで姿だった友人は、なんと腕に水ぶくれができた。社会の教科書に書いてある「アラブの人は肌を出すとやけどするので長袖を着ている」という記述は本当だったのだ。
ピースボートのクルーズで訪れた『どこやねん』な国 その② モンテネグロ
またしても、サッカーの試合でかろうじて聞いたことのあるような国である。
イタリアとはアドリア海を挟んで対岸に位置する国で、人口は約60万人。FIFAランクは63位(2016年)。2006年までは「セルビア・モンテネグロ」という長い名前だった。もっと前には「ユーゴスラビア」という名前だった時代もある。
モンテネグロの国旗
こちらが、モンテネグロの国旗だ。

このマークは、ヴェネツィア王国の旗をもとにしている。アドリア海の北に位置するヴェネツィア王国の力は、モンテネグロにまで及んでいたのだ(ちなみに、「モンテネグロ」という名前もイタリア語でる)。どおりで、ヴェネツィアに寄港した時、冗談みたいにデカい宮殿があったわけだ。
フィヨルドと天空の城 コトル
モンテネグロのコトルなんて聞いたこともないし、周りの大人も「何もないよ」と口にしていた。
しかし、実際に上陸してみると、おしゃれな旧市街と、背後の山に伸びる砦、そして、そこから見えるフィヨルドの絶景などがあった。景観は、ヨーロッパの寄港地の中でも一番だった。



コトルに来た人は、みんな裏山を登って砦に行く。逆に言えばそこしか行くところがないのだが、この砦というのが素晴らしい。石造りの砦だが長い歴史の経過を示すように草木に覆われている。眼下にははるか下にフィヨルドの海。
まるで、天空の城ラピュタである。



さらに、お楽しみは出航後にも。フィヨルドならではの景観を船の上から楽しめるのだ。

ピースボートのクルーズで訪れた『どこやねん』な国 その③ ジブラルタル
生命保険の名前ではない。町の名前である。
ジブラルタルがあるのはイベリア半島の先端。スペインの町のように見えるが、実はイギリス領である。ジブラルタル海峡を挟んでアフリカはすぐ目の前。「ヘラクレスの角」と呼ばれる地中海の玄関口である。
ジブラルタルの旗
旗には堅牢そうな要塞が描かれている。
だが、実際にはこんな建物はない。
これは、ジブラルタルにそびえたつ天然の要塞「ザ・ロック」を本物の要塞に見立てて描いたものである。

このザ・ロックのせいで、1713年伊スペインからイギリスが奪い取った後、スペインは一度も奪還できなかった。まさに、難攻不落の町なのだ。
おもちゃ箱の町 ジブラルタル
そんなジブラルタルであるが、町はテーマパークのように整然としている一方、住宅地の中に急に古城が出てきたりと、まるでおもちゃ箱をひっくり返したかのような面白い街だ。




また、ザ・ロックに上ると特徴的なのがおサルさん。いたるところで簡単におサルさんが見れる。

ピースボートのクルーズで訪れた「どこやねん」な国 その④ ベリーズ
いよいよもって、まったく聞いたことがない。位置的には、メキシコの南である。人口は約40万人。FIFAランキングは163位(2016年)。
ベリーズの国旗
ベリーズの国旗は人の絵が描いてあり、世界的にも珍しい。ここに描かれている人は、この国の主要な人種を表している。左側が国民の半分を占めるメスティソ、右側が黒人由来のクレオールと呼ばれる人種だ。
また、真ん中には造船などの主要産業が書かれている。
海賊のリゾート地 ベリーズシティ
ベリーズの首都、ベリーズシティの写真がこちら。

これは、「ツーリストビレッジ」という、観光客向けのスペースの写真だ。ピースボート側から言われたのはただ一言。
「命惜しければ、このツーリストビレッジから出るな」
それほど、治安が悪い。人呼んで「リアル・ロワナプラ」。
町並みは、カリブ海のリゾート地。このツーリストビレッジを歩いていると、やたらと宝石店が目につく。ベリーズ自体も「カリブ海の宝石」と呼ばれているらしい。
その理由がこちら「ブルーホール」だ。みんな、これを見たさにベリーズへ立ち寄るのだ。

ピースボートのクルーズで訪れた「どこやねん」な国 その⑤ サモア
だから、どこやねん!
サモアは太平洋に浮かぶ南半球の島国である。人口は約20万人。サモア諸島の西側は「サモア独立国」。東側は「アメリカ領サモア」である。
サモアの国旗
デザインそのものは、旧宗主国であったニュージーランドの国旗を参考にしているらしい。星のマークは、南半球の国に多くみられる南十字星である。
最後の町 アピア
サモアの首都、アピアには、クルーズの一番最後に訪れた。
これがまた、びっくりするくらい何にもない。
何にもないから、海岸沿いの道を散歩して終わった。

ここに来る前に、タヒチのびっくりするほどきれいな海を見てしまったので、正直、サモアの海はあんまりきれいじゃない。





びっくりするほど何もないアピアだったが、一番びっくりしたのは、僕が財布も持たずに、散歩気分で歩いていた、ということである。
完全に、「異国」であることを忘れていた。
最初の寄港地フィリピンでは、バスの窓から見た土埃ひとつで「おお、異国っぽい!」と興奮していたのに。
ピースボートのクルーズで、23個も寄港地を回るうちに、異国という意識が薄れていってしまったようだ。
帰国後、「旅祭2016」に参加した時の話。
世界地図が広げられていて、「自分のいた国にピンを刺してみよう」というイベントがあった。
バックパッカーが集まるイベントだったが、ピンが集まっていたのはインドだったり、西ヨーロッパだったり、メジャーどころが多い。
僕がドヤ顔でモンテネグロにピンを刺すと、周囲にいた旅好きも「え?それどこ?」と反応を示していた。
クルーズの旅はバックパッカーと違い、行先はすでに決められている。それは「不自由」かもしれないが、聞いたこともない国の、聞いたこともない町に連れていてもらえるのもなかなか面白い。
ピースボートの旅は受け身では楽しめない。特に名所のない国にいたら、自分で探せばいい。