くらやみ坂のナツミ

インディーズ小説「くらやみ坂のナツミ」がついに完成しました!

ん~? 拍手が聞こえないぞ~?

4つの短編から成る全102ページ、750円で販売中です。

https://nonbuzle.booth.pm/items/6252171

9か月くらいで作るつもりが、蓋を開けてみたらピッタリ1年かかっていました。企画を立ち上げたのが、ちょうど1年前の11月です。

とはいえ、執筆自体は半年前に終わってまして。

じゃあ、残りの半年は何してたのかっていうと表紙づくりに一か月ほど、残りは推敲と校正ですね。一校、二校、三校、頭痛、眩暈、吐き気……。

途中から、症状になってるがね。

だって、校正は集中力と神経を使うばかりで、おもしろくはないんだもん。それが一か月も続けば、眩暈の一つも覚えますさ。

今回、初めて印刷所を使ったので、入稿作業もドタバタでした。「あとはデータを送るだけ」と高をくくってからが長かったです。限られた日数の中で、聞いたことのない専門用語と書いたことのない書類のオンパレード。トンボ、背幅、出力見本、頭痛、眩暈、吐き気、動機、息切れ、脳震盪……。

入稿が終わった日はもう、ぐったりと疲れ果ててました。慣れない作業と時間との戦いだったのです。

さて、次は何を作ろうかしら。

「くらやみ坂のナツミ」を作っていろいろとわかったことがあります。

「くらやみ坂のナツミ」は四つの短編から成ります。

ということは、何話分書けば何ページぐらいになって、いくらぐらいお金がかかって、いくらで売れるか、というのがだいたいわかってきたわけです。

長編を書くにしても、細かく話数ごとに分割すれば、どのような本になるかもある程度想像がつく。僕の場合、「一話」だと思う長さが1万字~1万五千字ぐらいで、だいたい25ページくらいなわけですね。

「このプロットなら分割すれば、だいたい〇話くらいになるかな」

「ということは、〇ページぐらいにはなるわけだ」

「ちょっと長すぎるな。値段も高くなるし。よし、話数を削ろう。一話ももっと短くしよう」

みたいな調整も、次回からはできるわけです。長編が作りやすくなる。

また、一年ぐらいかけて小説を作りたいなぁ。

……の前に、

12月1日の文学フリマ東京のために、「民俗学は好きですか?」の最新号を完成させないと!

10月は「くらやみ坂のナツミ」の完成作業にかなり時間を使ってしまったため、「民俗学は好きですか?」のスケジュールの方が、地味に綱渡り状態になっています。

「1年で3冊作る!」が今年の目標だったんだけど、その3冊目が全く気を抜けない! やるぞ~!

ZINEとは?

ノンバズル企画では、ZINEを作っています。

……お酒を造っているわけではありません(笑)。

ZINEとは「MAGAZINE」の「ZINE」。個人が発行しているお手製の小冊子、すなわち「同人誌」を指します。

ZINEは19世紀末に生まれ、20世紀、特に90年代のアメリカ西海岸でブームを迎えたと言われています。

日本でも、明治時代には文学の同人誌が多くつくられ、文壇になお残す文豪も、こういった同人誌に執筆していました。

ところが、今の日本で同人誌というと、アニメやマンガの二次創作が主流なので、「同人誌作ってます」って言うと、もれなく「何のアニメの?」という質問が帰ってきます。

アニメやマンガの二次創作、いわゆる「薄い本」と区別するために、日本ではあえて「ZINE」という、ちょっとおしゃれな言い方を使っています。

アニメやマンガでないとすれば、じゃあ、ZINEは何が書かれているのかというと、

……何でもいいんです。

自分の好きなこと、自分の過去の話、自分の夢の話、イラスト、写真、小説、何でもいいんです。

もちろん、アニメやマンガの話でも。それこそ、何でもありなのです。

ZINEの魅力

①個人が発行している

ZINEは大きな出版社ではなく、個人が発行しています。そのため、書き手の個性があふれた出版物です。

その人の趣味や経験、アート作品がZINEの中に詰まっています。

そして、出版物を一つ作るというのは大変な手間です。その手間をかけてでも作りたいものがあったという、情熱がZINEにはつまっているのです。

そのため、ZINEを読むという行為は、あたかもその人の個性をのぞき見しているかのような、不思議な感覚に陥るのです。

②低予算・低価格

ZINEは基本的に安価なものです。個人が発行しているものなので、予算は限られますし、フリーペーパーのように広告を乗っけて広告費をとるものでもありません。

個人が低予算で作るものなので、どうしても、本屋に流通するような雑誌のようなクオリティには届きません。

でも、それがいいんです。デザイン、写真、文体、それらがどこか素人っぽい。素人ながらも精いっぱい、情熱をもって作ったZINE。そ素人臭さが実はZINEの魅力の一つなのです。

③少部数発行

ZINEは普通の本屋には流通していません。

そもそも、「普通の本屋」に流通している本は、「取次」と呼ばれる業者を経由しています。取次では、なかなかZINEのような個人、それも素人が作ったものは扱ってくれません。

さらに、ZINEは個人が作っているものなので、作業的にも、予算的にも、そんなに大量には作れません。

ZINEは、基本的には少部数発行です。

だからこそ、作り手と読み手がダイレクトにつながれるのです。

「だれか読んでくれるかな?」と不安を抱えながらも、情熱をこめてZINEを作った人がいる。一方で、「だれが書いたんだろう?」とそのZINEを手に取り、その情熱を受け取る人がいる。

名前も顔も知らない人同士が、ZINEを通じて繋がる瞬間、それは、ネットを介して大量に拡散するコンテンツを通しての交流とは、また少し違うものなのです。

 

ノンバズル企画とは?

ノンバズル企画とは、「バズらないモノづくり」を掲げ、「バズらないもの」の製作・販売を行うプロジェクトです。

主な活動は民俗学専門ZNE「民俗学は好きですか?」の企画・執筆・編集・印刷・販売です。

「ノンバズル」とは、「バズらない」という意味の、造語です。

なぜ、「ノンバズル企画」では「バズらない」にこだわるのか。

ネット社会でツイートやブログ、動画などが広く拡散し、多くの人に見てもらうことを「バズる」と言います(ちなみに、「バズる」の語源は虫の羽音らしいです)。

ネット社会では多くのクリエイターが「バズること」を目指し、「いいね」やリツイートを集めることや、フォロワーやブログのPV数、動画の再生回数を稼ぐことに力を注いでいます。

バズることができれば、広く名が知られ、多くのフォロワーを獲得できます。自分の活動を多くの人に見てもらうことができ、収入にもつながります。

そんな時代に、なぜあえて「バズらないこと」を掲げるのか。

……だって、「バズる」って、疲れるじゃん。

いろんな数字を気にして、一喜一憂して。

そのうち、本当にやりたいことも見失うようになります。「やりたいこと」よりも「バズること」「注目されること」をやるようになります。

さらに、注目が集まれば何でもいいと、社会的に許されないような行為に手を出したり、人の悪口を言って注目を集めたりするようになってしまいます。炎上商法というやつです。

でも、「数字を気にする」って、実はとても疲れるんです。

数字は常に移り変わるもの。形のないもの。捉えどころのないもの。

そんなものに執着しても、疲れるだけです。

実際、僕自身、ツイッターのフォロワー数や、ブログのPV数を気にすることを一切やめてみたところ、とても気持ちが楽になりました。それだけ、疲弊していた、ということです。

そこで、あえて「バズらないモノづくり」を掲げる「ノンバズル企画」を立ち上げました。ノンバズル企画ではZINEの製作をメインで行っています。

ZINEとは個人が少部数で発行する物なので、基本的にはバズりません。

おまけに、ZINEの内容は「民俗学」を扱ったものなので、これはもう、絶対にバズりません。

ZINEは「バズること」「広く拡散すること」よりも、「ZINEを手に取ってくれたたったひとりと繋がること」に重きを置いたメディアです。「バズること」ではなく、本当に自分がやりたいことをやるメディアです。

ノンバズル企画では、バズるバズらないに関係なく、自分が本当に良いと思ったもの、本当に面白いと思ったものを作っていきます。

そして、作品を多く売ることよりも、作品を手に取ってくれた一人一人と出会うことを大切にしていきたいです。