テレビ全盛の時代が終わりをつげ、you tubeの動画が何億回も再生される、そんな時代がやって来た。さらに、showroomやVtuberといった、新たなメディアやコンテンツが次々と登場し、時代はどんどん変わっていっている。
それでも、やっぱりラジオが大好きだ!
ラジオの公開収録を見てきた
8月24日に池袋で行われた、FM NACK5の「Nutty Radio Show THE魂(ソウル)」の公開収録に行ってきた。
当日は乃木ヲタ(乃木坂46のファンの皆さん)やスラッシャー(DISH//のファンの皆さん)が大勢訪れるのは想像に難くない。だって、レギュラー出演しているのだから。
そんな中、純粋なラジオファンの底力を見せてやるぜ! 妙に意気込んでいた私。
事前に優先観覧スペースの抽選をやるというので、ダメもとで応募してみたところなんと当選! これで、場所取りをする必要はなくなったと、余裕をもってサンシャイン60へと向かった。
さて、集合場所に行ってみると、どうやら抽選に当選した人は210人いるらしい。その中で僕の整理番号は43番。どうやら、相当今回は運がいいみたいだ。
整理番号順に並んで優先観覧スペースへと向かう。番号順に場所が決まってるのかなと思いきや、順番を守らなければいけないのは優先観覧スペースに入るまで。スペースに入ってからは自由に場所を選んでいい、というので、なるべく真ん中に行くことに。
2列目、というかほとんど1.5列目のど真ん中に陣取り、後ろを振り返った。
優先観覧スペースの後ろに、普通の観覧スペースがある。そこにも優先観覧スペースと同じくらいの数の人がひしめいていた。
優先観覧スペースと普通の観覧スペース、合わせて400人ほどがサンシャイン60の地下1階、噴水広場にひしめいている。
それだけではない。噴水広場は吹き抜けになっていて、1階、2階、3階からも観覧できる。そこも人で埋め尽くされていた。
数百人がイベントに集まったわけだ。一応言っておくが、「THE魂」は埼玉県のラジオ局、FM NACK5の番組だ。radikoを使えば全国で聞けるが、基本は関東地方、埼玉県を中心としたローカルな番組だ。
そのイベントに数百人が集まったわけだ。
テレビやyou tubeなど、様々なメディアが登場し、ラジオはすっかりレトロな存在となった。
にもかかわらず、ラジオのイベントにこれだけの人が集まったのだ。
さて、公開収録が始まる前に、優先観覧スペースをもう少し広げよう、ということになり、観覧スペースとステージの間にあった仕切りがちょっとだけ前に動かされた。それに伴い人も動く。
その動きの中で、なんと僕は、最前列のど真ん中に躍り出ることに成功したのだ!
ステージまでほんの数メートル。視界を遮るものが一切ない中で、間近でイベントを堪能できた。イベントは撮影禁止だったので、写真でこの近さをお伝え出来ないのが残念だ。
とりあえず、間近で見た月曜日担当・乃木坂46のゆったんこと斉藤優里は、異次元の可愛さだった、とだけ書いておく。
2時間のイベントを最前列で堪能して帰路に就いた。そして、こう思った。
やっぱり、やっぱりラジオが大好きだ!
ラジオ、最近どうだい?
イギリスが生んだ伝説のロックバンド、QUEEN。QUEENが1984年に発表した曲に「RADIO GAGA」という曲がある。ベーシストのロジャー・テイラーが作詞作曲を担当した珍しい曲だ。
タイトルの通り、ラジオのことについて歌った曲だ。
歌詞の内容は次のような感じだ。
テレビが全盛の時代となり、ラジオの時代はとうに終わってしまった。
それでも、やっぱりラジオが大好きだ!
そんな歌だ。
Radio what’s new?(ラジオ、最近どうだい?)
Someone still love you(まだ君を、ラジオを愛している奴がいるんだ)
ちなみに、この「RADIO GAGA」をもじって芸名にしたのが、かの有名なLADY GAGAだ。ウソのようなホントの話。
この歌が発表された80年代、ラジオは全盛期を終え、時代の中心はテレビだった。ラジオは廃れていくけど、それでも、やっぱりラジオが大好きだ! そういう歌だ。
それから30年以上の時が流れた。今度はテレビが全盛期を終え、時代はyou tubeだ。人気の動画は世界中で再生され、いつでも好きな時に見れる。
それに比べてラジオなんて、音しか出ないし、FMは一つの地域でしか聞けないし、放送時間決まってるし。最近はradikoプレミアムやタイムフリー機能があるが、radikoプレミアムは有料だし、タイムフリーは1週間しか持たない。you tubeに比べるとだいぶ不利だ。
だが、ラジオはなくならなかった。テレビ放送が始まって半世紀近くが過ぎ、ネット動画の時代になってもラジオはなくならず、ローカル番組のイベントに数百人が集まる。
なぜだろう。
その理由は“Someone still love you”、この一言に尽きるのではないだろうか。
ラジオとリスナー
ラジオはなぜ生き残っているのか。それは、ほかのメディアにはない「リスナーとともに番組を作る」という点にあるのではないだろうか。
もちろん、テレビでも視聴者の投稿を募集することはあるし、you tubeだって視聴者のコメントなどを反映させることはできるだろう。
だが、ラジオの「まずリスナーありき」「リスナー依存度」は半端ではない。
たいていの番組が毎回テーマを決めてリスナーからメールを募集する。リスナーのメールを読んで、DJがその話を膨らませていく、というやり取りがラジオの基本だ。DJが一方的にしゃべるだけ、という番組はないわけではないが(情報番組とか)、基本は「番組がテーマを決めてメールを募集する」⇒「リスナーがメールを送る」⇒「DJがメールを読む」⇒「リスナーのメールをもとに話が膨らんでいく」というのが、ラジオ番組の基本である。
そのため、どこのラジオ番組も「リスナーがいないと、まったく番組の進行ができない」というくらいリスナーありきの放送をしている。
さらに、番組からリスナーに電話してお話をしたり、クイズを出したりすることもある。これを「逆電」という。
そして時に、リスナーの人生まで垣間見える。恋の話、家族の話、病気の話などなど。
どこかの誰かの人生とほんの一瞬つながる瞬間。これこそが、ラジオの醍醐味だろう。
ラジオと音楽
ラジオは音楽との相性がいい。そりゃそうだ。音だけのメディアなのだから。逆に、写真とか絵画との相性は最悪だ。
いろんなラジオ番組があるが、特に音楽番組は多い。
最新のヒットチャートを紹介する番組、レコードをかける番組、アニソンに特化した番組、V系に特化した番組、リクエストをかける番組、いろんなタイプの番組がある。
何がいいって、リスナーはどんな曲がかかるかわからない、ということだ。
だからこそ、好きな曲や懐かしい曲のイントロが流れるとテンションが上がる。自分でウォークマンやiPODを操作して流すのとは、全然違う。
ラジオと投稿
ラジオの醍醐味の一つが、番組に投稿することだ。もちろん、サイレンとリスナーでも十分にラジオは楽しめるが、投稿が読まれた時の喜びはひとしおだ。
ただ、これが全然読まれない(笑)。
渾身のネタが読まれず、楽しい放送なのに一人がっかりする、なんてことはよくある話だ。
だからこそ、読まれた時の喜びはひとしおだ。自分のラジオネームが読まれ(ちなみに、僕の場合、ラジオネームも「自由堂ノック」だ)、自分の送ったメールが読まれる。僕のメールをもとにDJが話をする。
いつも聞いているラジオのど真ん中にいきなり自分が放り込まれるような感覚だ。
さらに、自分のメールから話がどんどん広がったり、DJの思い出話なんかを引き出せたり、ツイッターでほかのリスナーが自分のメールに反応をしてくれたりすると、さらにうれしくなる。
特に面白いメールにはノベルティが贈られる。こうなると喜びはMAXだ。町中を走り回って「皆さん、私の投稿がラジオで読まれ、ノベルティが当たりました!」と大声で叫んで回りたい気分だ(もちろん、投稿はすれど、そんな奇行をしたことはない)。
ラジオと災害
この記事を書いている2日前、北海道を震度7の地震が襲った。
翌日のニュースで札幌に住んでいる人がインタビューに答えていて、「ラジオを聴いている」と話していた。
ラジオは、あらゆるメディアの中でも特に、災害に強い。
それは、災害が起きても放送をしている、というだけではない。
例えば、東日本大震災の時の話だ。
地震直後、テレビをつけるとどこの局も、東北を襲う津波の映像を流していた。多くの人の命を奪った痛ましい津波だ。
だが、この時僕が欲していたのは、自分がいる埼玉県は安全なのか、という情報だった。
ところが、どこのテレビも東北の津波ばかりで、埼玉で何が起きているかは全くやってくれない。どこかで火災は起きていないのか。避難したほうがいいのか、しなくていいのか、遠くの津波の話ばっかりで、自分の身の回りの情報が全くない。
そこで、ラジオをつけた。地元埼玉のFM NACK5の人気番組、小林克也の「ファンキーフライデー」だ。
そこでは、「栗橋の交差点で信号が止まっています」といった、超ローカルな情報がリスナーたちによって寄せられていた。おかげで、自分の身の回りの情報を手に入れることができた。
ラジオは投稿してから読まれる前に、放送作家によるチェックが入る。「動物園からライオンが逃げ出した!」みたいな、SNSでよく見るトンデモデマ情報はまず読まれないだろう。
ほかにも、ラジオは緊急地震速報を流してくれる。気象警報を教えてくれる。
災害に限らず、電車の遅延や運転再開まで教えてくれる。
いつもはおどけたことを言っているDJが、こういうお知らせの時はまじめな口調になるのが、ちょっとおもしろい。
そして何より、災害時に笑顔を届けることができる。
「おに魂」の最終回で読まれた、「3.11の時、福島から避難する車の中で、おに魂を聞いて3時間笑いっぱなしでした」というメールがいまだに印象に残っている。
ラジオ、最近はどうだい?
テレビ全盛の時代を迎え、それすら過ぎ去り、時代はyou tubeだ。
さらに、showroomやVtubeなど、新しいメディア・コンテンツが次々と生まれていく。
音しか出ないラジオなんて、時代遅れなコンテンツなのだろう。
それでも、悪いけど、どのメディアも、ラジオの楽しさには及ばない。
Someone still love you.
Someone love radio from now on.
それでも、やっぱりラジオが大好きだ!
初心者のためのラジオ用語集
ラジオをあんまり聞いたことがないよ、という人のために、初心者向けのラジオ用語集を作ってみた。さあ、ラジオを聞こう!
AM・FM
電波の違いらしいのだが、まあ、一般的にはAMが全国放送、FMが地域放送、といった感じか。
AMは広範囲、それこそ日本全国規模で届くが、音質があまりよくない、と言われている。
一方、FMはAMに比べると届く範囲が狭く、例えば関東のFMだったら関東しか聞こえない。埼玉県入間市に基地があるFM NACK5だったら、神奈川県西部はちょっと厳しい。静岡ではかなり厳しい。
だが、東京湾では意外とばっちり聞こえる。東京湾を行く船の上で、NACK5を聞いた本人が言っているのだから間違いない。
FMは範囲が狭い分音質が良いとされ、音楽番組向きだといわれている。
改変
番組のDJが変わったり、番組そのものが入れ替わる時期。1月、4月、7月、10月に改編が行われるが、特に4月と10月に集中している。
改変の1か月前くらいに、「番組の最後に大事なお知らせが……」みたいなことを言い出したら、大好きな番組の終了を覚悟したほうがいい。
たまに、「大事なお知らせが……」といって、「何年何月に放送が始まった今番組ですが……」と神妙な面持ちで切り出しておいて、「来月から放送時間が変わります!」と発表するパターンがある。「びっくりした。終わるのかと思った。あ~、よかった」という安堵感と、「おい! 番組終わるかと思っただろ! 紛らわしいことするな!」という怒りが同時に胸中に押し寄せる。
カフ
DJの手元にあるマイクのスイッチ。このスイッチを入れることを「カフを上げる」という。カフを上げ忘れると、しゃべっても声が放送に乗らず、その後もカフを上げ忘れたことでしこたまいじられる。
逆電
番組からリスナーに電話をかけ、お話をしたり、クイズやゲームを楽しむ企画。大体が番号非通知でかかってくるので、非通知拒否設定を解除しないと、番組から電話がかかってこない。
公録
公開収録の略。
サイレントリスナー
投稿をあまりしないリスナー。
周波数
電波の周波を表した数字。単位は「MHz(メガヘルツ)」。埼玉県には、周波数が79.5MHzだから、「ナックファイブ」という社名をつけたふざけたラジオ局が存在する。
ジングル
CMに入る前後に挿入される音楽。音楽にのせて番組名を言う場合が多い。
たまに、ゲストのミュージシャンがお土産に番組のジングルを作ってきたり、遅刻のお詫びにジングルを作ったりする。
聴衆率調査週間
2か月に一回、偶数の月に行われる、番組聴衆率を調査する週間。この週になると、どこもスペシャル感を出し、プレゼントが豪華になったり、特別な企画を行ったり、動画配信を行ったり、ノベルティが当たりやすくなったりする。
トークバック
ディレクターが放送中にDJに出す指示。放送ブースの外からマイクを使って指示を出し、DJはヘッドフォンやイヤホンでこの指示を聞く。そのため、トークバックが放送に乗ることはない。
ハガキ職人
番組にせっせと投稿したり、面白い投稿を連発したりする人のこと。時代は流れ、ラジオへの投稿はハガキからFAX、そしてメールが主流となったが、「メール職人」という言い方はあまりしない。
ふつおた
「ふつうのお便り」の略称。番組が募集しているテーマとは関係ない内容のメールのことを指す。番組や放送局によって名称が変わることもあるが、「ふつおた」が一般的である。ふつおたを特に集中して紹介するときは「ふつおたまつり」と呼ばれる。
radiko
インターネットを通じてFMラジオを聴くアプリ。電波による放送に比べると、数秒から30秒近く遅れる。有料プログラム「radikoプレミアム」を使うと、電波が届かない地域のFMラジオを聴くことができる。さらに、タイムフリー機能があり、聞き逃した放送も1週間以内なら再生することができる。