「悪」を煽る奴も同罪じゃないのか?

ネットとかを見ていると、腑に落ちないことが多々あって。

「悪いヤツ」や「悪いもの」をもてはやした連中は、「悪いことをしたやつと同罪」ではないのか、って想いがずっとあるんですよ。

たとえば、ちょっと前に話題になった「迷惑ユーチューバー」。逮捕だの裁判だのアカウント凍結だので話題になりましたけど、あれって、「動画作った本人」だけが悪いんでしょうか。

どうしてそんな動画作ったのかと言うと、「再生回数が伸びるから」ですよね。誰も見ない迷惑動画を黙々と作るような酔狂な人間はまずいないはず。「この動画、迷惑でおもしれー!」ともてはやした連中が、サル山の猿のようにうじゃうじゃいたから、迷惑ユーチューバーは迷惑動画を作り続けたはずなんですよ。

迷惑動画をおもしろがって楽しんだ連中は、動画を作った本人と同罪じゃないのか? だって、こいつらがいなかったら、迷惑ユーチューバーは活動できなかったはずなんです。

そして、こいつらがタチ悪いのと思うのは、

「いや、僕らただ動画見てただけですよ」という言い逃れができてしまう、という点。

たしかに、積極的に悪いことをした人間と、それをただ見てた人間を同罪にする、と言うのは無理があるのかもしれません。

一方で、「いじめを黙認して傍観してるやつも、イジメた奴と同罪」っていうし。

犯罪にしろ虐待にしろ、「通報義務」ってあるし。

飲酒運転を黙認したやつは飲酒運転したやつと同罪だし。

悪を傍観することは、悪を黙認することであり、悪を推奨することなのではないか。

思えば、昔からこういう問題がたびたび出てくるわけです。

たとえば、10年ほど前の某ボクサー一家の問題。

それまでさんざん「ワルっぽいところがいい!」とか言ってたのに、いざ問題を起こしたら、みんなてのひら返し。

挙句の果てには「持ち上げてたマスコミが悪い」。

マスコミが持ち上げてたのは視聴率が取れるからであり、つまりは「ワルっぽくておもしれ‐!」って人たちがいっぱいいたから、マスコミが持ち上げたわけです。誰も食いつかないものにマスコミは注目しません。

最近だと、SNSの誹謗中傷で自殺者を出した某番組。この番組も、過剰な演出がイケなかった、ということにされています。

するとやはり、過剰な演出をした番組が悪い、と言われるのですね。

でも、テレビが過剰な演出をしたのは、その方が視聴率が取れるからであり、つまりは「リアリティショーっていうの? 過激でおもしれー!」という連中がいっぱいいたからです。

そして、ボクサー一家が問題を起こそうが、シェアハウス番組が問題を起こそうが、面白がった連中は知らんぷりです。「僕ら、ただ見てただけです」というわけですね。

……同罪だからな。

ちなみに、「ガキ使」をやらなかった今年の日テレの大みそかは、視聴率が悪かったらしいです。みんなやっぱりケツバットとタイキックが見たかったんですね。

……アウトー!

投稿者: ノック

民俗学ZINE作家。 「バズらないモノづくり」をテーマとする「ノンバズル企画」を主宰。民俗学専門ZINE「民俗学は好きですか?」を企画・執筆・製本・販売しています。「民俗学とは『生きること』を探求する学問」をテーマに、民俗学の魅力をわかりやすく、面白く、奥深く紹介していきます。