なぜ、ZINEを販売するお店は(そんなに)ないのか

年末にイベントに参加してきたんですよ。出展する側ですね。

野外のイベントだったんでコロナのリスクは低いんですけど、むしろ凍死のリスクが高くて、死ぬかと思いました。

文学フリマや、ましてやコミケなんかと比べると決して大規模なイベントではなかったけど、それでもまずまずの部数を売り上げたんです。

そして、ふと思うのが、「毎日、このくらいの売り上げがあったら、結構な収入にならないか?」

1日1万円を売り上げるとして、ひと月営業したら、30万円。

……悪くないじゃない。

もちろん、これだけだと店舗の家賃やコストだけで飛んでく可能性があるけど、何人かでチームを組んでお店を作ったら、結構いけるんじゃないの?

となると問題は、「僕のZINEはイベントじゃなくても売れるのか?」という点ですね。「イベントだから」売れてるんじゃないのか。お祭り気分だからみんな買ってくれたんじゃないのか。

まさにハレとケの問題。イベントで売れたZINEは普通のお店でも売れるのか?

となると、疑問に思うのが「なぜ、コミケの同人サークルは、常設店舗を作らないのか?」ということ。

半年に一度のコミケには、50万人ほどが集まるといいます。

もし、秋葉原あたりにコミケと全く同じ品ぞろえのお店があって、365日営業しているとしたら、1日3000人近くのお客さんが集まる大繁盛店になるという計算。

もはや、デパートですよ。秋葉原同人誌デパート。コミケがあれほど繁盛してるのに、なぜ同人誌デパートが生まれない?

ただ、コミケの主力商品は二次創作品。悪い言い方をすれば「パクリ」。

二次創作の売買が許されているのはイベント、つまりお祭りだからであり、それをさすがにお店で堂々と売り始めたら、さすがに集〇社あたりから「ちょっ、待てよ!」と言われてしまうのではないか。

メ〇ンブックスなんかでひっそりと委託販売してるくらいならまだしも、堂々とお店を構えるのはさすがにマズい気がしますね。

その点でウチは大丈夫です。完全なオリジナル作品ですから。

(まあ、全ての民俗学は柳田國男の二次創作なんじゃないか、という疑念は置いといて)

まあつまり、同人誌の即売イベントがあれだけ盛り上がるということは、「商業誌じゃないから」「個人が作ったものだから」「手作りだから」は、売れない理由にはならない、ということです。

むしろ、出版不況と言われ続ける今こそ、ZINEに価値があるのかもしれない。

全国でZINEやリトルプレスを扱うお店も、確実に増えてきています。ZINEを売る場をハレからケへと移す方法も、どこかにあるはずなんです。

投稿者: ノック

民俗学ZINE作家。 「バズらないモノづくり」をテーマとする「ノンバズル企画」を主宰。民俗学専門ZINE「民俗学は好きですか?」を企画・執筆・製本・販売しています。「民俗学とは『生きること』を探求する学問」をテーマに、民俗学の魅力をわかりやすく、面白く、奥深く紹介していきます。