図書館を作りたい

図書館を作りたいなぁ、と思ってから半年くらいたっただろうか。

進捗状況はどうだというと、残念ながらたいして進んでない。

図書館の「館」、つまり建物もないんだけれど、なによりも圧倒的に「図書」、つまり本が足りない。

いくら立派な建物を用意したところで、本がなければそこは図書館とは呼べないのだ。そこに「図書」がなければ、「館」は空虚な箱なのさ。

図書館の構成要素で何よりも重要なのは本なのである。

じゃあその本を集めればいいじゃないか、という話なのだけれど、「これぞ!」という本もそうそうない。

基本的に僕はケチなので、「なんでもいいから片っ端から買ってくる」ということはできない。どうしても財布のひもが緩まないのだ。

そんな僕でも、古本屋で「これは掘り出し物だ!」と思った本を見つけると、財布のひもも緩む。

この前も、「悪魔がつくった世界史」だなんて物騒な本を買ってしまった。本棚を見ると呪術の本とか錬金術の本とかオカルト本とかクトゥルフ神話とか、なんだか不吉そうな本が一角を占めている。

こういう本だとするりと財布のひもが緩むんだけどなぁ。

そして、ふと思う。

図書館を作るには、まんべんなくいろんなジャンルの本をそろえねばならない、と最初は思ってたんだけど、必ずしもそうじゃないかもしれない。

むしろ、ジャンルに偏りのある図書館があったっていいんじゃないか。

思えば、まんべんなくいろんな本が読みたいんだったら、公立の図書館に行けばいいのだ。

そうではない、マニアックな蔵書の方が、私設図書館としては面白いかもしれない。

この前、アートコレクターの人が書いた本を読んだのだけれど、どうやら「集める」というのもまた一つの創造的な行為らしい。

コレクターは、自分で何かを生み出すわけじゃない。他人がつくったものをせっせと集めてるだけだ。

集めてるだけなんだけど、その集め方にもその人のクセというものが現れて、それもまた一つのアート足りえるのだ。

たとえば、何かのテーマに沿って作られたプレイリストなんかがそうだろう。楽曲自体は人のものだし、自分で演奏してるわけじゃないんだけれど、その集め方にマニアックなこだわりがあったりすると、プレイリストもまた一つの作品となるのだ。

というわけで、まんべんなくいろんなジャンルの本を集めることはあきらめて、僕の個性がにじみ出たコレクションを作ろう、ということになった。

きっと、歴史・民俗関連と、おばけ・オカルト関連のジャンルに大きく偏った図書館ができるだろう。でも、「おばけの本の図書館」とか面白いじゃないかと、ちょっとワクワクしている。

投稿者: ノック

民俗学ZINE作家。 「バズらないモノづくり」をテーマとする「ノンバズル企画」を主宰。民俗学専門ZINE「民俗学は好きですか?」を企画・執筆・製本・販売しています。「民俗学とは『生きること』を探求する学問」をテーマに、民俗学の魅力をわかりやすく、面白く、奥深く紹介していきます。